もちオーレ『出会い系サイトで妹と出会う話』

 

 

出会い系サイトで妹と出会う話

 

作者:もちオーレ

発行:KADOKAWA 2017年

単行本:電撃コミックスNEXT

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いわゆるウェブ漫画に疎い僕はよく知らなかったが、

ツイッターで人気のある百合系作家らしい。

 

表題作は、同性の恋人をもとめて出会い系サイトを利用したら、

実の姉妹がひさしぶりに再会したとゆう、意外性にとむ連作。

気の毒なほど狼狽する、妹の「小夜」がかわいい。

 

 

 

 

親が知ったら卒倒確実な「出会い」だが、姉は平然としている。

でも内心はドキドキしてるらしい。

相手は家族なのに、エンカウントのシステムがちがうだけで色めきたつ。

 

作者は、セリフ回しでキャラの個性を増幅させ、

ありえない関係性にイキイキしたリアリティを付与する。

 

 

 

 

ふたりは8年前から百合だった。

当時中1の小夜は、彼氏とのファーストキスを失敗したくないから、

キスの予行演習につきあってと、5歳年上の姉にもちかける。

 

彼氏がいるなんて嘘だけど。

 

 

 

 

長女らしくしっかり者の姉は、あんがい感情に流されやすい。

あっさりキスの快楽に溺れ、「練習」を名目にし、

親の目を盗みつつ、みづから妹の唇をもとめた。

 

 

 

 

思春期女子が複数いる家庭は、ハリネズミの巣だ。

些細なきっかけで、楽園が戦場と化す。

姉の受験勉強ですれちがいが生じ、妹は恨みをいだく。

 

この苦味は7年後、誤解がとけた姉妹の甘味をきわだたすスパイスになるが。

 

 

 

 

こちらはバスケ部を舞台とする別シリーズの『ダメな先輩×デキる後輩』。

ミニマルな作風だが、動きの描写も的確だ。

 

どれほどの隔たりも一息で踏破する、百合とゆう特別な心のありかた、

そのうつくしい奇跡をつめこんだ短篇集である。





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ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合   

町田翠『ようことよしなに』

 

 

ようことよしなに

 

作者:町田翠

掲載誌:『月刊!スピリッツ』(小学館)2017年-

単行本:ビッグコミックス

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富山県の山麓でくらす、女子高生ふたりの物語。

自転車をこぐ癖っ毛が「マキ」で、黒髪ロングが「ようこ」。

ジャンル名を強いてつけるなら「田舎百合」か。

 

 

 

 

ふたりは「ユニコーン☆ドリィム」とゆうユニットをくみ、

のど自慢の予選に参加するなど、音楽活動をしている。

退屈なド田舎から抜け出す方法は、これくらいしか思いつかない。

 

 

 

 

ただしこのユニットは、フラストレーションを持て余したゆうこが、

マキを強引につきあわせてるとゆうのが実態。

別の高校へすすんだのに、ゆうこはあたらしい友達をつくらず、

だれもいない家に帰るのも嫌で、毎日マキとあそんでいる。

 

 

 

 

わがままでさびしがり屋の友人に振り回されているマキだが、

深夜に河原でギターの練習をするなど、まんざらでもない様子。

 

JKの相互依存や、田舎の風景の描写がたくみな、作者の初単行本だ。

 

 

 

 

マキにとってゆうこは大切な存在だが、いいことばかりじゃない。

たとえば、いつも他校の生徒とつるむせいでクラスで浮いている。

それをごまかす保身の術もそなえてない。

 

 

 

 

のど自慢の予選でひさしぶりに再会した、同中の「桑原えみり」。

なりふりかまわずアイドルをめざす痛々しいキャラ。

 

 

 

 

ときどき楳図かずおみたいな誇張がまじる独特の絵柄で、

青春漫画以上百合漫画未満のモラトリアムな関係をえがく、

淡々としてるのに起伏にとむ要注目作だ。





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

鬼八頭かかし『たとえ灰になっても』3巻

 

 

たとえ灰になっても

 

作者:鬼八頭かかし

掲載誌:『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)2016年-

単行本:ガンガンコミックス

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ある意味『賭ケグルイ』フォロワーっぽくはじまって、

命懸けのギャンブルを描いた本作は、3巻から「鬼ごっこ篇」へ突入。

もはやギャンブルと言うより、サバイバル。

 

 

 

 

鬼ごっこのルールは変則的。

腕時計型の端末で所持金を管理しつつ、

「テレポーテーション」など4種のスキルを発動する。

 

お嬢さまぶってるお嬢さまの常称寺さんは、

丁半ダウト篇をへてヒロイン的ポジションにおさまった。

 

 

 

 

注目すべきは、だれが鬼かわからないこと。

「ペアを組みましょう」と近寄ってきたプレイヤーが、敵かもしれない。

子供の遊びとは異なる駆け引きがある。

 

 

 

 

主人公のユキが、「ナイトメア」のスキルで攻撃される。

幼少時の忌まわしいトラウマが抉り出され、しばらく戦意をうしなう。

 

「キャラの掘り下げ」をルールに組みこむなど、プロットは引き締まっている。

 

 

 

 

本戦前夜の、最後の晩餐。

プレイヤーはおいしそうな「豚肉料理」をほおばるが、

「ヒトと豚の生物的特徴は似てる」「豚からヒトへの臓器移植が進んでる」とか、

知りたくなかった情報を耳にして青褪めるものも出たり。

 

 

 

 

本作のお楽しみと言えば、拷問シーン。

3巻でクロエルは、自分に手向かったプレイヤーに対し、脳へ直接おしおきする。

 

 

 

 

キャラクターと世界観とストーリーで漫画の出来がきまるとしたら、

『たとえ灰になっても』は、すでに名作の気配をただよわせている。





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

鈴木マナツ『コネクト』3巻

 

 

コネクト

 

作者:鈴木マナツ

掲載誌:『ウルトラジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス・ウルトラ

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同人イベントでCDが完売したのを祝し、

アニソン制作チーム「スタードロップ」は海で合宿をおこなう。

マイペースな絵師・藤尾さんの水着姿が、意外なほどキュートでセクシー。

 

 

 

 

鈴木マナツの強みは描線のうつくしさ。

女のカラダを描かせたら、だれにも負けない。

でも『コネクト』では武器を出し惜しみする。

 

あと僕がおもうに、本作のストーリーは「オッズ」がはっきりしない。

主人公が賭けに勝ったらなにを手に入れるのか、

負けたらなにを失うのか、よくわからなくて読者はいまいちノレない。

 

 

 

 

3巻ではアラサー声優「花巻しおり」が登場。

キャリアはパッとせず、そのくせ担当キャラへの愛着がふかく、

レコード会社の人間からめんどくさい女とおもわれている。

 

 

 

 

しおりは、和奏が提出したキャラソンのデモに感動し、

レコード会社の会議室でみっともなく号泣する。

キャラクターのことを、演じる自分をのぞけば誰よりもふかく、

作曲者が理解してくれたのが、音楽からつたわったから。

 

アラサー女子の純情がほとばしる名場面だ。

 

 

 

 

ギョーカイものである本作には、矛盾が内在する。

どんな業界だろうと、決定権をにぎるのはオジサンであるとゆう社会的現実と、

女の子を描くときもっとも際立つ作者の資質のあいだに。

 

たとえばネコ耳マネージャーの「リカ」には、

『阿部くんの七日間戦線』の最凶ヒロイン「一夏」の残響がただよう。

でも、こうゆう楽しみが散発的なのが残念だ。

 

 

 

 

作者がツイートしている。

 

ご無沙汰してます

コネクト3巻の単行本作業ぼちぼち進めてます。

やったー足塗れると思ったけど

この絵はかなり小さく使われるのを思い出して…

 

ああ、やっぱりマナツ先生は女の子の脚が大好きなんだなと、

ファンである僕はほくそ笑んでしまった。

そんなに好きなら、もっともっともっともっと描けばいいのに。





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 鈴木マナツ 

つっつ『おむじょ!』

 

 

おむじょ!

 

作者:つっつ

掲載サイト:『WEBコミックぜにょん』(ノース・スターズ・ピクチャーズ)2016年-

単行本:ゼノンコミックス(徳間書店)

[ためし読みはこちら

 

 

 

おむつ女子がテーマの、ちょっとエッチなラブコメである。

高校2年の「大根将太」は、落とした消しゴムを拾おうと屈んだところ、

クラスメートの「乙姫いちご」が、イチゴ柄のおむつを穿いてるのに気づく。

 

 

 

 

いちごは自身の体質で悩んでいた。

好きな男と接触するなど、性的に昂奮するとおもらししてしまう。

満員電車は特に要注意。

 

群衆の描写はむつかしいものだが、

作者はたくみな構図と丁寧な描きこみで処理している。

 

 

 

 

おむつと思春期の女の子は、やはり特異な組み合わせ。

いちごがレジに持っていこうとすると、後ろ指をさされることも。

二十代女性が買うなら、なんとも思われないだろうに。

義侠心にかられた将太は身代わりになり、男らしさを発揮。

 

 

 

 

将太の幼なじみである「猫又もれい」もオムツァーだった。

こちらは体質でなく、将太といちごの仲のよさに嫉妬して着用。

おむつがモテるなら、おむつを穿かない理由はない。

案外ファッションはこうやって流行するのかも。

 

 

 

 

もれいが将太に惚れたのは、小学校時代のおもらしエピソードがきっかけ。

とにかく全篇、失禁失禁また失禁の失禁祭りの漫画だが、

ストーリーが思いのほか大きく展開してゆくのに感心。

 

 

 

 

11話は、いちごに誘われて映画館へ。

ポニーテールにむすんだ髪に、デートを成功させたい決意がみなぎる。

はたしていちごはおもらしせずにいられるか?

 

ワンピースやサンダルなど、よく描けている。

僕は、おむつやおもらしが一定の人気があるジャンルなのは知りつつも、

どちらかと言えば悪趣味に感じられて熱心な読者になれずにいたが、

本作はおむつを女子のファッションの一部として描写しており、センスがいい。





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