『殲滅のシンデレラ』 第10章「神護寺」


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 京都競馬場のスタンドは、観客がいなくなったので寒々しい。発砲事件をうけ、GIレースは急遽中止となった。騎手から解放された競走馬たちが、悠々と馬場を走る。地下鉄などへの攻撃からは約二時間経過した。古都が争乱に巻きこまれたことは、全世界へ知れわたった。

 アヤが通路からスタンドにあらわれる。イオリと羽多野があとから続く。イオリは黒のセーラー服を着て、黒のストッキングを履く。ウィッグをつけたのでロングヘアだ。だれも出生時の性別を見抜けないだろう。

 白のセーラー服のトワが頭を下に、仰向けでスタンドに横たわる。額の中心を9×39ミリ弾で撃ち抜かれた。

 イオリが駆け寄り、遺体を抱きすくめる。声をあげて泣く。感情移入のはげしい性質だなと、アヤはおもう。イオリがトワに会うのはこれがはじめてなのに。

 羽多野は力なく椅子に腰をおろす。頭をかかえている。ひょっとしたら、トワと特別な関係があったのかもしれない。

 かすれ声で羽多野がつぶやく。

「俺の責任だ。京都駅でもトワはおかしかった。作戦から外すべきだった」

 トワは持ち場をはなれ、アヤとイオリを尾行した。感応術をもちいて情報を盗み、単独でワイズを斃そうと抜け駆けした。作戦全体を瓦解させかねない行動だ。

 唇をぎゅっと結び、アヤが言う。

「トワさんがバカなのよ」

 うつむいていた羽多野が顔をあげる。

「こんな風に」アヤが続ける。「トワさんが独走しなければ、たぶん暗殺は成功した。これ以上のチャンスは二度とない」

 遺体を抱いたままイオリが叫ぶ。

「アヤちゃん、ひどいよ!」

「なに」

「そんな言い方ってない」

「私が冷たいと言いたいわけ」

「わかってるでしょ。トワさんが思い詰めたのは、アヤちゃんをライバル視したからだ」

 アヤはかすかに身をよじる。腋の下に汗をかいている。痛いところを突かれた。

「そんなの知らない。とにかくメソメソするのはやめて」

「男らしくなくて悪かったね」

「ええ、悪いわ。あなたも感情に流される人間なら、容赦なく切り捨てる」

「…………」

「私が四条烏丸でユウキになにをしたか、間近で見たでしょう」

「かわいそうに」

「はぁ?」

「本当はだれより愛情をもとめてるくせに、そんなに強がって。精神的に支えてあげたかったけど、ボクには無理そうだ」

 膝をついたイオリはアヤを見上げている。瞬きするたび、しっとり濡れた睫毛から涙が飛び散る。水滴がダイアモンドのかけらの様にきらめく。鳥肌が立つほどのうつくしさだ。

 アヤは混乱する。イオリの言う本当の自分とはなんだろう。イオリの正体は、女装癖のある少年ではないか。いったいなにが本当なのか。結局のところ人生とは、一幕の舞台にすぎないのか。

 イオリと羽多野はスタンドを後にする。トワの遺体は椅子に横たえ、瞼を閉じさせた。それくらいしかしてやれない。いくら警察が麻痺状態でも、長く現場にとどまれない。

 アヤはトワの黒縁眼鏡をはづす。つるをたたみ、自分のブラウスのポケットへしまう。

 爪を黒く塗った拳を握りしめ、つぶやく。

 トワ、ごめんなさい。

 仇はかならず私がとる。




 神護寺は、高尾山の中腹に建てられた山岳寺院だ。空海や最澄などにゆかりがあり、歴史に名をとどめる。アヤとイオリは狙撃手などを排除しつつ、参道をのぼる。紅葉の名所だが、いまは六月なので鬱蒼としげる青葉が、四百段もある長大な石段をかこんでいる。

 へばるイオリを叱咤激励して導き、アヤは楼門の前の石段までたどりつく。普段ジムで足腰を鍛えているおかげだ。

 石段の中程で、折りたたみ式防弾盾が五つひろがり、即席のバリケードを形成している。ひとつの防弾盾に三人が身を隠せる。警察の特殊部隊十五名が、ヘルメットをかぶった上半身だけ出し、サブマシンガンのMP5でアヤを狙う。

 楼門をぬけて境内に入れば、神谷首相とワイズ大統領に接触できる。首脳会談の一環として、日本文化を紹介し、親睦をふかめているらしい。

 京都が幕末以来の大混乱に陥ったのは、神谷首相も知っている。しかしワイズ大統領が、神護寺での合流をつよく主張した。ソリストを迎撃するための手勢をふやすのが目的だ。また神谷は、若本副総理をはじめとする主要閣僚、および次官クラスの官僚と連絡をとれてない。みな雲隠れした。総理大臣は山中で孤立無援となっていた。

 日本の政治を牛耳る約十名が姿を消した理由を、アヤは羽多野からおそわった。彼らはワイズと密約をむすんだ。京都を核ミサイルで攻撃したあと、原子力潜水艦アラバマを乗組員ごと日本政府へ譲渡すると、ワイズは約束した。

 日本は、一夜にして核保有国となる。周辺国は反発するだろうが、文句は言わせない。日本は被害者なのだから。核兵器の戦略的価値にくらべたら、都市ひとつ灰になったところでお釣りがくる。

 アヤはこの話を信じた。大いにありうると思った。公言こそしないが、大抵の民自党議員は核武装を悲願としている。父や祖父もそうだ。

 黒のスーツを着た女が、楼門のそばから拡声器をとおして呼びかける。顔はみえないが、声で担任の東山奈美だとわかる。やはり東山は潜入捜査官だった。

「佐倉さん、ムダな抵抗はやめなさい。あなたは羽多野に利用されてるだけよ。罪を問われないようにするから、ここは私にまかせて」

 木陰に隠れるイオリにむかい、アヤが尋ねる。

「念動術で私の声を飛ばせる?」

「うん。メガホンのマイクをスピーカー代わりにできるとおもう」

「おねがい」

 楼門の方を見上げ、アヤが言う。

「あー、もしもし」

「…………」

「二年C組の佐倉です。聞こえますか」

「聞こえるわ」

「先生にひとこと言いたいんですけど」

「なによ」

「よくもユウキたちを罠にはめましたね」

 拡声器の発するハウリングが、山道で反響する。

「私を責めてるの? 友達がいるとわかっててテロを実行したあなたが?」

「謝らないんですか。あとで命乞いしても遅いですよ。たとえ先生でもゆるさない」

「キチガイ。殺人鬼」

「ふうん。そういう態度なんだ」

 アヤは一歩づつ石段を踏みしめる。特殊部隊の隊員十五名が、MP5の照準を精確にあわせる。距離は二十メートル。確実に当てられる。

 アヤは飛び上がる。

 舞踏術【グラン・ジュテ】。

 ふわりと舞い、前方宙返りする。まっすぐ両脚をのばし錐揉み回転している。特殊部隊の背後に着地する。敷石が衝撃で吹き飛ぶ。

 生贄の儀式がはじまった。ソリストの舞踏は、防弾ベストをきた敵すら一撃で屠る。アッチェレランドで殺戮が進行してゆく。フォルティッシモな悲鳴。そして沈黙。

 アヤは身を翻す。石段を駆け上る。東山の姿はない。あいかわらず逃げ足が速い。

 本堂でワイズ大統領を警護していたシークレットサービス八名が、楼門からつぎつぎ飛び出す。みなスーツとネクタイを着用し、グロックなどの拳銃を手にする。石段の上に散開し、アヤへ集中射撃をあびせる。

 黒い物体が、後ろからアヤの頭上を飛びこす。イオリが防弾盾を念動術でうごかした。拳銃弾が食い止められる。五つの防弾盾は、半円をえがいてシークレットサービスをかこむ。

 アヤは身をかがめ、右に大きく迂回する。たがいの秘密を共有したイオリとは、言葉をかわさなくても連携できる様になった。

 敵の側面へ躍り出る。シークレットサービスは縦一列となり、射線を塞がれた。アヤはフットボール選手みたいな体格の男に肉薄する。右手をVの字にし、男の顔へむける。男は反射的に左手を顔の前にかざす。硬直している。

 アヤの残忍な闘いぶりは、アメリカの各組織の戦闘員のあいだで語り草となっている。ブラッディネイルは人間の目を抉り、その場で食べるらしい。さらに脳まで啜るとか。

 アヤは、ガラスの靴で股間を蹴り上げる。男は反吐をまきちらし、悶死する。石段を転げ落ちる。のこりのシークレットサービス捜査官は恐慌をきたす。逃げ道をさがすが、防弾盾による包囲がさらに狭まっている。味方同士で押し合いへし合いするうち、ひとりづつ仕留められる。

 森閑とした山門が、地獄絵図と化す。

 バラララララッ。

 轟音とともに軍用ヘリコプターが飛来した。星条旗を機体にあしらった、アメリカ海兵隊のブラックホークだ。しかも二機。アヤは突風でなびく髪を手でおさえる。

 大統領専用ヘリ、通称「マリーン・ワン」は、せまい境内に二機とも着陸する。




 待ち伏せが怖くもあったが、アヤは楼門をくぐって境内へ踏みこむ。急がねばワイズに逃げられてしまう。

 ブラックホークのまわりで醜い争いが生じていた。銃声に怯えた日本政府高官が、自分もヘリに乗せるよう海兵隊員にもとめている。押し問答がつづいたあと、迷彩戦闘服をきた海兵隊員は、M9拳銃で高官を射殺する。

 頭髪が薄く、眼鏡をかけた七十歳くらいの男が、アヤの存在に気づいて歩み寄る。日本国総理大臣をつとめる神谷昭雄だ。

「君は」神谷が言う。「佐倉君のところのお嬢さんじゃないか。まさか君がテロをおこしたのか」

 アヤは閣僚の娘だった。本来はあちら側の人間だ。口籠りながら答える。

「御無沙汰しております、神谷先生」

「事情は知らないが、バカげた真似はやめなさい。話せばわかる」

 アヤは、神谷の十メートル後ろにいる海兵隊員をみていた。M16アサルトライフルを構えている。彼らは外交官ではない。話は通じない。

 海兵隊員二名が発砲する。アヤは左に転がって避ける。楽観主義者の神谷が盾になった。後頭部と背中に数発被弾し、即死した。壊れたくるみ割り人形みたいに倒れる。

 アヤは横目で神谷の死体をながめる。

 いい人だった。一度会っただけの私を覚えてくれてたなんて。でも、それだけの人だった。神輿にかつがれ、売国奴たちの陰謀の道具となり、その事実を知らないまま死んだ。ある意味、幸福な人生だったかもしれない。

 チリリリン!

 鈴の音がアヤの脳裏に響いた。ティンカーベルが飛び回りながら、なにかしゃべっている様な。

 アヤは右側に建つ書院の門の、茅葺きの屋根を見上げる。眼帯をつけた黒人の男が、棟のところに腰かけている。左腕を膝にのせて支えとし、消音アサルトライフルのASヴァルを安定させる。

 昨夜の道玄坂でアヤに重傷を負わされた、CIAのハワード・フックだ。高所から狙われるアヤには、反撃の手段も、身を隠す場所もない。

 チェックメイトだ。

 アヤはぽかんと口をあけ、ライフルのスコープごしにフックと目をあわせる。みごとな戦術だ。こちらの攻勢限界点を冷静にみきわめ、危地へ誘いこみ、決定的打撃をくわえる。復讐心をたぎらせてるだろうに、周到に考え抜かれた戦術だ。

 しかし、フックは発砲しない。固まっている。アヤをなぶりものにしているのか。

 フックの褐色の肌に異常がおきているのに、アヤは気づく。あれは霜だ。顔一面が霜に覆われている。フックはライフルを構えたまま凍結していた。

 バランスを崩したフックが、砂利道へ落下する。ガシャンと音をたて、五体がばらばらに砕ける。

 門の陰から、サックスブルーのエプロンドレスをきた、金髪の少女があらわれる。具現化した唯一のシャドウである、アリスだ。

 冷熱術【白の女王】。

 いったいアリスは敵なのか、味方なのか。とにかく今回は、アヤの命をすくった。

 七歳とはおもえぬ複雑な表情を、アリスはうかべる。あえて言葉にするなら、憐憫。アリスは楼門を出て、ひとりで参道を下りてゆく。

 ブラックホーク二機のブレードの回転が速まる。アヤの紺のスカートがはためく。ワイズを収容したブラックホークが離陸しようとしている。

 一機が上昇中に機体をおおきく傾ける。旋回しながら下降しはじめる。操縦不能になっている。金堂へ墜落する。国宝である薬師如来立像もろとも、数トンの重量で押し潰す。

 もう一機は僚機を見捨て、飛び去ってゆく。あちらがワイズが乗るマリーン・ワンだ。ヘリが複数で移動するのは、いざというとき大統領の身代わりにするためだ。足手まといなら切る。

 黒のセーラー服を着たイオリが、おくれて境内にたどりつく。精魂尽きて両膝に手をつく。

 アヤは、まだ凍っているフックの死体のそばにあった、卵型の手榴弾をひろう。

 息を切らせてイオリが尋ねる。

「アヤちゃん、怪我は?」

「大丈夫。さっきはカバーしてくれてありがとう。防弾盾で囲むのはいいアイデアだった」

「こう見えてボクは男だからね。がんばらなきゃ」

「じゃあ、もうひと踏ん張りおねがい」

 アヤは手榴弾のピンを抜き、上空へ投げる。イオリが念動術で百メートルちかく急上昇させる。手榴弾は、ブラックホークのテイルローター付近で爆発した。

 だがヘリの飛行は、平衡をたもっている。

 アヤはため息をつく。

 軍用ヘリは、この程度のダメージでは影響ないかもしれない。とにかく私は全力を尽くした。




 東山奈美は高雄山の藪を掻き分け、どうにか舗装道路まで下りてきた。ソリストたちの攻撃を恐れ、参道を避けた。斜面で何度も転んだので黒のスーツは泥だらけで、木の枝であちこちが破れた。教師の安月給で無理して買った、ニューヨーカーのスーツが台無しだ。

 東山は首を横にふる。

 こんなの苦労のうちに入らない。警察という、どうしようもなく男中心の組織で活動するのとくらべたら、たのしいピクニックみたいなもの。

 奈美、夢をわすれないで。あなたは女性初の警視総監になるんでしょ。

 敵前逃亡した東山だが、悪びれるつもりはない。自分は戦闘員ではなく、公安警察官だ。スパイとして情報をつかむのが仕事だ。教師になりすまして高校へ潜入し、不穏分子を発見した。表彰ものの大手柄だ。バケモノと戦って犬死にするなんて、あってはならない。

 それにしても、あの小娘。佐倉アヤとかいう。はじめから怪しいと思っていた。くりかえし報告したのに、上司に握り潰された。民自党議員の子息だからビビったのだろう。

 清流にかかる高雄橋の前で、東山は立ち止まる。愕然とする。佐倉アヤが、仲間の謎の美少女をつれ、行く手をはばんでいる。

 運動による汗が、恐怖による冷や汗に変わる。清滝川へ飛びこんで逃げたい。それでも東山は歯を食いしばり、傲然とアヤに言う。

「ありがとう。待っててくれたのね」

「笑わせないで」

「佐倉さん、謝りなさい。それが教師に対する言葉遣いなの」

「ごめんなさい、『先生』」

 アヤは意地悪く発音した。

 東山は腕組みし、上半身の震えをごまかす。

 天使の顔をした悪魔め。

 絶対この場は切り抜ける。どんな異能をもってようが、十歳年下の女に翻弄されてたまるか。しょせん佐倉アヤは、蝶よ花よと育てられた、世間知らずのお嬢さまなのだ。

「知ってるかしら」東山が言う。「アメリカ海兵隊の一個大隊が、すでに沖縄を発った。規模は約千人。もうじき京都へ到着する」

「へえ」

「こうなったのもなにかの縁。あなたに協力するわ。私を生かしておけば役にたつ」

「変わり身がはやいですね」

「大人だもの」

「それはともかく、ユウキをはめたことへの謝罪はまだですか。まあ、謝っても許しませんが」

 東山は顔をしかめる。

 しつこい女だ。毎回授業のあと質問攻めしてきて、こちらを閉口させる。私は英語の専門家じゃないから、前日の夜に何時間も予習しないといけない。まったく忌々しい女だ。

「聞いてなんになるの」

「根にもつタイプなんです」

「知ってる。なにひとつ不自由ない暮らしをしてるくせに、被害妄想にかられて道を誤った」

 アヤの端正な顔に、影が一瞬よぎる。攻めるべき弱点を東山はみつけた。諸刃の剣だが。

 アヤが言う。「お説教はやめて」

「心配して言ってるの。まだ立ち直れる。私が責任もって手助けする」

「もう一度言う。やめて」

「徹底的にあなたのことを調査した。羽多野と政略結婚させられると思いこんでたのよね?」

 アヤは沈黙する。めづらしく視線が泳ぐ。イオリが気遣わしげに横顔をうかがう。

「御両親になにか言われた? あなたと羽多野が結婚する可能性について」

「…………」

「言われてないわよね。ありえないもの。ねえ知ってる? あの男は結婚歴があるのよ」

「私に関係ない」

「いろいろあって今は独身だけどね。犯罪歴もある。ここじゃ言えないくらいの。学歴は高校中退。どうみても佐倉家の御令嬢と釣り合わない。政略結婚は、あなたが創作したストーリーよ」

「だまれ。それ以上しゃべるなら殺す」

「あははっ。いま理解したわ。あなたは羽多野に惹かれてたのね。嫌よ嫌よも好きのうちってやつ。恋愛感情を圧し殺すために、滑稽なシンデレラストーリーを自作自演したんだわ」

 イオリは隣で、アヤがわななくのを見守る。アヤの右手が透明な剣と化した。途轍もなく気位の高い女が、内面にずかずかと踏みこまれ、憤慨している。それでもイオリは信じていた。アヤは無抵抗の人間に暴力をふるわない。

 緊張がゆるんだのを察し、東山は欄干をこえて清滝川へ飛びこむ。スーツを着ているのでぎこちなく、下流へむかい泳いでゆく。疲労困憊のアヤに、東山を追撃する余力はない。

 じっとアヤを見つめ、イオリが言う。

「よく我慢したね」

「命懸けのハッタリとわかってたから。それでもムカついたけど」

「えらいよ。東山先生の言い方は最低だった。やっちゃえって、正直おもっちゃった」

「私もすこしは成長したかな」

 アヤは足許がふらつき、イオリにもたれかかる。イオリはやさしく肩を抱く。男と思えないほどしなやかな体だ。

「ごめんなさい」アヤが言う。「疲れて立ってるのもつらい状態なの」

「あれだけ舞踏術を使えばしょうがないよ。ボクが支えてあげる。男の方が力持ちだからね」

「よく言うわよ。私より細いくせに」

「とにかく一度ホテルへもどろう。また出動命令が出るまで休まなきゃ」

 アヤは橋から下流をながめる。東山はまだ泳いでいる。生き延びようと必死だ。

 東山奈美という教師は別に嫌いではなかった。どちらかと言えば好きだった。説明がわかりやすく、アヤは東山のおかげで英文法が得意になった。いい先生だと感謝していた。

 公安のスパイだとは、つゆとも思わなかった。

 道を誤ったのは、むしろ東山ではないか。




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クマノイ『女子中・高生のイラストブック』

 

 

女子中・高生のイラストブック かわいい制服と小物200アイテム

 

著者:クマノイ

発行:日貿出版社 2018年

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『リメインズ・JC』などで知られる作家による、学校制服イラスト集だ。

これまで僕は、上月さつき『制服嗜好』を座右の書としてきたが、

本書は画集としての魅力と、技法書としての利点がある。

 

たとえば、カーディガンの袖の長さを今風にみせるには、

「ブレザー:カーディガン:スカート=7:1:2」にするといい。

パルテノン神殿の黄金比みたいだ。

たしかに女子中高生は、現代の神にちがいない。

 

 

 

 

ブレザーとカーディガンとネクタイが層をなし、複雑なフレーバーをかもしだす。

ボタンをはづすと、襟のところに影ができやすいとか。

細部へのこだわりに舌をまく。

 

 

 

 

衣服の描写で要となるのがシワだ。

ただし中学セーラー冬服などでは、あまりシワを描きこまない方がリアル。

重くて厚みのある生地だし、中学生は成長をみこして大きなサイズを着るから。

 

 

 

 

ボレロについての説明を引用する。

 

中学でよく見られる。

高校ではブレザーなどに置き換えが進み、絶滅危惧種となっている。

下にジャンパースカートを着る組み合わせが非常に多い。

高校でボレロを採用している学校は、ミッション系など私立が多く、

中学の素朴なものより凝っていておしゃれなものが多い。

 

生物学者の様に淡々とした記述だが、

ひとつの文化が滅んでゆくことへの嘆きもまた感じられる。

 

 

 

 

たとえばボレロの制服が印象的な、仲谷鳰『やがて君になる』を読むとき、

以上の背景知識がより感興をふかめてくれるだろう。

 

 

 

 

靴や鞄などの小物も充実している。

ナイロンのざらざらした質感、金具の光沢。

おでこを出した髪型がマジメそうな雰囲気をつたえるけれど、

ちょっとチャックがひらいてて、女の子らしい可憐さをのこす。

 

 

 

 

すっきりしたシルエットと、シンプルな塗りと、ほどよいシワの描写と、

ナチュラルな表情が織りなす、愛らしくも神々しい女学生たち。

リュックの肩紐をセーラーの襟の下にかけた女の子を、今度街で探そうかな。





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尾崎かおり『金のひつじ』2巻

 

 

金のひつじ

 

作者:尾崎かおり

掲載誌:『月刊アフタヌーン』(講談社)2017年-

単行本:アフタヌーンKC

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駆け落ち同然に、継は東京へやってきた。

祖父が経営するコロッケ屋ではたらきはじめる。

 

 

 

 

ブログなどでの作者の発言にふれない訳にゆかない。

どうやら1巻の売上が芳しくなく、本巻の初版部数が相当しぼられたらしい。

講談社編集部とケンカしたのを匂わせてもいる。

 

いじめというテーマが暗すぎたと作者は分析する様だ。

 

 

 

 

作風の刷新をはかっているのだろう。

『神様がうそをつく。』『人魚王子』は、思春期女子の視点からえがかれる、

みづみづしくも切迫した世界観が異彩を放っていた。

本作ではより視野をひろげ、群像劇に接近している。

主人公の継もふわっとした印象で、近作みたくピリピリしてない。

 

アーティスト魂が、過去作品のコピペを拒絶するわけだ。

 

 

 

 

それでも、継が夜に観覧車に乗るところはすばらしい。

僕は観覧車のシーンをいろいろ見てきたが、この浮遊感はあざやかとおもう。

 

つまり、過渡期の作品なのだ。

 

 

 

 

ボクシングのプロテストで失敗した優心が、シャワー室で無力感に崩れる。

たしかにここには、未知の風景がある。





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『殲滅のシンデレラ』 幕間「競馬場のアリス」


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 アリスはお尻の痛みを我慢しつつ、鞍に横座りしています。つまり、馬に乗っていました。

 モチノキの大木のまわりを、十頭以上のサラブレッドがゆっくり歩いていました。そのなかにアリスが乗る「エンチャンテッド」がいます。新聞を手にした観客が、熱心に馬の状態を観察しています。ここは京都競馬場のパドックとよばれる場所です。

 観客がアリスに声をかけ、カメラをむけています。アリスは手をふってこたえます。ドジスン先生が書いた小説の人気は絶大です。ただ日本の人々は、アリスを見るたび「アリスのコスプレだ」と口にするのが不思議でした。

 笑顔でいるアリスですが、心は沈んでいました。みじかい時間ですが京都を散策するうち、とても気にいったからです。このうつくしい街が破壊されるなんて悲しいことです。故郷のオックスフォードに雰囲気が似てるとおもいました。聞くところによると、京都にも有名な大学があるそうです。

 アリスは戦争をやめてもらおうと、ワイズ大統領に直談判しに来ました。ところが大統領は会ってくれません。しかたないのでアリスは、大統領の所有馬であるエンチャンテッドを借り、乗馬に初挑戦してみました。でも馬の背の上は高くて怖いし、お尻は痛いしで、泣きっ面に蜂です。

 ため息をつき、アリスがつぶやきました。

「乗馬ってちっとも楽しくないわ。私には馬車がむいてるみたい」

 長い首をひねり、エンチャンテッドが答えました。

「嫌なら降りるといい。乗ってくれとこっちが頼んだわけじゃない」

 アリスは仰天しました。馬が会話できると思わなかったからです。さっきから歌をうたい、ひとりごとを言うのを全部聞かれてたなんて、恥づかしくてたまりません。

「失礼だわ。会話ができるなら、先に言ってくれないと」

「おたがいさまだ。きみは俺に乗るとき、許可をもとめなかったろう」

「それもそうね。ごめんなさい」

 かるく頭をさげ、アリスが続けます。

「あなたに乗ってもよかったかしら?」

「好きにしろ。俺は走りたいとき走り、食べたいとき食べ、寝たいとき寝る。背中にだれがいようが関係ない」

「走るのが好きなのね。あんなに速いのだから」

「いや、まったく」

「そんなことないでしょう。私の友達に、とってもお歌が上手な子がいるの。歌が好きだから上手になれたんだわ」

「文化の違いだな。俺たちは好き嫌いでものごとを判断しない」

「よくわからないわ」

 アリスはふわふわの金髪をいじりました。馬や犬が全力で走るとき、彼らはとても楽しそうに見えます。エンチャンテッドの意見は納得できません。

「逆に聞こう」エンチャンテッドが言いました。「人間は好きだから勉強するのか?」

「いえ、まったく。あらやだ。私、あなたと同じことを言ってるわ」

「人間は好きだから働くのか? 好きだから戦争するのか?」

「たぶん嫌いなんじゃないかしら」

「君らこそおかしな生き物だ」

 最後の一周を終え、エンチャンテッドは本馬場につながる通路へむかいました。いよいよレースがはじまります。アリスはあわてました。並足でも危ないのに、本番なら確実に振り落とされます。

「降りる前にひとつ質問させて。あなたのオーナーであるワイズさんって、どんな人?」

「興味ないね」

 ぶっきらぼうにエンチャンテッドは答えました。アリスには他人行儀におもえます。オーナーと馬の関係は、親と子や、飼い主とペットみたいなものだからです。でもよくかんがえると、アリスが飼っている猫のダイナはいつも無愛想なので、これが普通かもしれません。

「ワイズさんはとても馬が好きらしいわ。小さいころから馬を飼っていたんですって」

「ああ。でもその馬は予後不良で殺された」

「どういう意味?」

「脚を骨折したら俺たちは殺される。生きている意味がないから」

「ええっ。かわいそう」

「そういうものなのさ」

 エンチャンテッドは平然と言い放ち、歩きつづけました。その背で揺られながら、アリスはこうしてサラブレッドに乗っていることが、ひとつの奇跡なのかもしれないと思いました。

 アリスはつぶやきました。

「『その場にとどまるには、全力で走りつづけないといけない』。赤の女王が言ってたわ」

「そいつは人間か?」

 アリスは悩みました。赤の女王は、アリスが鏡の国で出会ったチェスの駒です。

「どうかしらね」

「人間が言ったにしては、共感できる言葉だ」

 アリスはエンチャンテッドの鞍から飛び降りました。降りる前に首筋を撫でてあげました。エンチャンテッドはうれしそうに首を振りました。

 アリスはパドックをかこむ傾斜へ歩きました。大勢の観客のなかに、黒縁の眼鏡をかけたセーラー服の女の子がいました。名前をトワと言います。昨晩、高速道路で見かけました。

 トワはしきりにアリスを手招きしました。早くこちらへ来いとうながしています。随分と焦っている様です。




 アリスはエレベーターでスタンドの五階へのぼり、VIPルームに入りました。壁一面のガラス窓から、本馬場を見渡せます。モニターが嵌めこまれたテーブルの前に、ピンクのTシャツを着た金髪の男性が座っていました。アメリカ大統領のウォーレン・ワイズさんです。白塗りの化粧をほどこした舞妓さんがとなりで、グラスに飲み物をそそぎます。

 ワイズさんはカゴメの「野菜生活」という野菜ジュースを愛飲しており、わざわざワシントンまで取り寄せ、毎日朝昼晩と飲んでいるそうです。いまはウォッカで割り、ブラッディマリーというカクテルにしています。七歳のアリスにお酒は早すぎますが、どんな味なのか気になります。

 おもむろにワイズさんが振り向きました。目が据わり、充血しています。まだお昼なのに飲み過ぎかもしれません。

 甲高い声でワイズさんが叫びました。

「だれがこのガキを部屋にいれた!?」

 左目に眼帯をつけた黒人男性が答えました。

「私です、サー」

 この男性はハワード・フックさんです。「コーポレーション」という部隊を率いる軍人さんですが、昨晩の戦闘で部隊は全滅しました。左目はそのとき抉り取られました。脳にもひどい損傷を負ったそうですが、なぜか元気にみえます。フックさんは不死身なのだと陰で囁かれ、恐れられています。

「さっさと追い出せ」

「部下を失った私は、いま軍事アドバイザーとしてお仕えしています。ある程度の自由裁量はみとめられてるはずですが」

「9・11以降、最大のテロがおきたんだぞ! いや、状況はもっと深刻だ。敵の目的は俺の暗殺なのだから」

「状況は完全にコントロールできてます」

「ファック!」

 ワイズさんは立ち上がり、髪の毛のないフックさんの頭頂にブラッディマリーを浴びせかけました。赤い液体が、眼帯のない右目に入りますが、フックさんはまばたきひとつしません。痛みを感じないのでしょうか。

「すでにお前は」ワイズさんが言いました。「東京と京都で二度失敗した。救いがたい無能だ。無能であることは国家への叛逆だ」

「お言葉ですが、今回の化学兵器攻撃は、敵にとって成功と言えません」

「貴様、正気か?」

「やつらは成功しすぎました。所詮は烏合の衆であり、規律がない。すぐに崩壊します」

「プランを言え」

「大統領、あなたは軍事を御存じない。まあ安心して競馬でも見ててください」

 ワイズさんは空のグラスをフックさんの足許へ投げつけ、粉々に割りました。席にもどり、舞妓さんがあたらしくつくったブラッディマリーのグラスを受け取りました。

 ひとくち飲んで、ワイズさんが言いました。

「もう失敗はゆるさない」

「わかっております、サー」

「無能な人間には、ふさわしい末路が待っている。シリア政府あたりにお前の身柄をわたす。さぞかし歓迎されるだろうよ」

「あまり感心しません。私がもつ情報までシリア政府にわたる恐れがあります」

「つまらない野郎だ。お前の顔をみると酒がまづく……うぐっ」

 ワイズさんが胸をおさえました。グラスが倒れ、ブラッディマリーが木目のテーブルにこぼれました。顔面蒼白のワイズさんは息切れしています。

 アリスは首にかけている金緑石のペンダントを、指でなぞりました。パドックのそばでトワにもらったものです。VIPルームの窓は数日前、シークレットサービスがマジックミラーのフィルムを貼りました。外から中をみれません。しかし、アリスがかけている「アナスタシアの涙」の霊力により、トワは内部を確認して攻撃を仕掛けられます。

 感応術【ネバーランド】。

 ワイズさんが苦しみだしたのは、心臓が停止したからです。十分も経てば死んでしまうでしょう。

 アリスは動揺していました。なにを企んでいるのか、くわしくトワから教わりませんでした。たしかにアリスは、戦争をやめてほしいとワイズさんにお願いするつもりでした。でも、こんな悲惨な光景はみたくありませんでした。

 ゆったりした動作で、フックさんが窓にちかづきました。先の方が太い筒になっているライフルをもっています。もがいているワイズさんには目もくれません。銃口をガラスごしに観客席へむけました。右目でスコープをのぞいています。

 カチッ。

 おもちゃの銃みたいな音がしました。

 数秒後、床に横たわるワイズさんが、はげしく咳きこみました。心肺機能が恢復した様です。

 シークレットサービスの人たちが、ワイズさんをつれて外へでました。部屋にいるのはアリスとフックさんだけです。窓に小さな穴があいています。

 アリスが尋ねました。

「大統領を囮にしたのね」

「チェスの戦術でいうサクリファイスだ。これで敵戦力は半減した」

「半減?」

「あの眼鏡の少女は、ブラッディネイルと同等か、それ以上のアタッカーだったろう」

「なぜわかるの」

「トップだからこそ、ライバルが手柄をたて、自分の地位が脅かされて焦るのさ。それで独走した」

「すべてあなたの読みどおりなわけ」

「敵のミスに助けられた。もし同時にブラッディネイルがここへ突入したら、俺たちは全員死んだ」

 フックさんは他人事の様につぶやきました。まるでチェスの対局を振り返るみたいに。

 アリスはドジスン先生のことを思い出しました。数学者でもあるドジスン先生は、よくチェスの比喩をつかうからです。

 でもドジスン先生とフックさんは、全然ちがう性格だとも思いました。繊細なドジスン先生は、どちらかと言うと変わり者ですが、アリスにはいつも優しく接してくれます。ボートで遊んでいるとき、オールを漕ぎながら即興で話してくれる物語のおかしいことと言ったら! アリスは笑いすぎて、湖に落ちそうになります。

 アリスが言いました。

「人間はチェスの駒ではないと、私はおもうの」

「そうか? 俺には違いがわからんが」

 ライフルをもったフックさんは、VIPルームから出てゆきました。

 アリスは窓から観客席を見下ろしました。スタンドは上を下への大騒ぎになっていました。ただ遠すぎて、トワの姿は見えませんでした。




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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

大見武士『かみくじむら』

 

 

かみくじむら

 

作者:大見武士

掲載誌:『アワーズGH』(少年画報社)2018年-

単行本:YKコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

失業中の青年「永瀬」が、旅先で倒れる。

ふと目覚めたら見知らぬ場所で、着物の少女「ミナ」に介抱されていた。

 

大見武士は、たくさんの単行本がある中堅作家だが、

本作では、「和」をモチーフにした表現を工夫している。

 

 

 

 

こちらはミナの姉である「エリ」。

村のリーダー的存在で、楚々としてうつくしい。

 

電力すら通らない孤立したこの村は、村長をのぞくと女しか住んでない。

つまりハーレムである。

 

 

 

 

村長は、カルト宗教の教祖みたく崇拝されている。

エリをふくむすべての女は、老いた村長によろこんで身をゆだねる。

 

西洋的で近代的な一夫一婦制の道徳に、

いかがわしい風習を対置する、和風エロティックサスペンスだ。

たとえば最近でも、原つもい『この島には淫らで邪悪なモノが棲む』が、

単行本9巻をかさねるヒットとなるくらいの人気ジャンルだが、

本作はあちらでは寸止めだったエロ描写が全開で、読者の期待にこたえる。

 

 

 

 

永瀬は、村長から後継者になるよう要請される。

しかし表情からわかるとおり、村長は悪巧みに引っかけようとしている。

ハーレムをタダで受け継げるなんて、そんなうまい話はころがってない。

 

 

 

 

永瀬とエリが愛し合うシーンは、作者お得意の甘い雰囲気がたっぷり。

ただ背景事情に問題があるので、ほろ苦いあじわいがある。

アルファベット3文字で言うとNTRだ。

 

 

 

 

こちらのショートボブの女は「フタバ」。

エリをライバル視しており、永瀬にもキツくあたる。

 

永瀬は村の掟を笠にきて、フタバを力任せに支配する。

くわしくは単行本をみてもらうとして、対比のきいた煽情的なシーンとなっている。

とにかくエロスの描写に気合いがはいっており、読みごたえは抜群だ。





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苑田 謙

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