くろは『帰宅部活動記録』
帰宅部活動記録
作者:くろは
掲載サイト:『ガンガンONLINE』(スクウェア・エニックス)2011年~
[単行本は「ガンガンコミックスONLINE」として、第一巻まで刊行]
新入生の「花梨」と「夏希」は、部活選びでお悩み中。
「盛んな部活動が活気ある雰囲気作りに一役買っている」と、
学校案内パンフレットに記されるだけあり、帰宅部の部室まであつた。
先輩部員は三名。
ただ部長がいうとおりイカれてるので、紹介はあとでじつくりと。
はやく帰ろうとしたアホ毛の夏希は、「帰宅精神(スピリット)」を称讃される。
帰宅部、それは脱出不能のおそるべき罠。
縮小されて読めないけど、左上で黒髪リボンの「牡丹」が、
「フ…すごい大型新人(ウーパールーパー)が入って来たな…」とつぶやく。
ウーパールーパーつて、JK方面でまだ知名度あるのかな?
とにかく疲れしらずに四人へツッコミつづける夏希が、一番変かも。
萩月流古武術第十六代継承者、「大萩牡丹」。
高速で手をうごかすことで一瞬の真空状態をつくりだし、
かまいたちと同じ原理で物体を切断する。
第一巻でもつとも笑えた、「クマさんツアー」。
モノローグとメールの落差がたのしい。
ハンバーガーを賞味しつつアラスカの森でグリズリーを斃したあげく、
さらに北へむかいホッキョクグマに勝つまではよい。
だが、真の敵はシステムだつた。
「今時リーゼントのヤンキーがいたら、そいつは間違いなく埼玉県民だろう」
怖いものなしの牡丹師匠に惚れた!(なにせ千葉出身なんで)
現国の授業をネタに、漫才がはじまる。
夏目漱石の『こゝろ』。
教科書は抜粋しか載つてないので、「フルで読んだら微妙だった…」。
文豪にもケンカをうる。
とはいえ、黒髪少女は国文学が似あう。
ほかに『ガンガンONLINE』掲載作では、
谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』とかあつて、
二巻読んで「フェラペチーノ」とかおかしかつたけど、『帰宅部』推しでゆきたい。
『私モテ』の人気はステマ臭もするし。
九重財閥社長令嬢、「クレア」。
新入生の花梨を、妹の様に猫かわいがり。
ミカンは筋までとる。
「脚を使った締め撃ち」「ロングバレル」「ペットボトルマガジン」はビーダマンネタ。
シャー芯を補充する。
たしかにあれは面倒。
「クレアちゃん一生面倒見れるの!?」
「見れるけど?」
ナチュラルに見くだす表情がたまらん!
決してブレないツッコミ耐性。
牡丹が訓練を怠らないのは、ギャグが受けなくなつたとき、
いつでもバトル路線へシフトできる様にするため。
全篇に、鳥山明リスペクトがみなぎる。
社会派頭脳戦展開にもそなえる。
「何かこう…株…株をインサイダーしたりするわ」
メタ視点ギャグで、作家の手札をさらす。
智識の有無なんて、どうせ読者にすぐバレるし。
カバー下で居眠りする花梨。
バカとおもわせつつ、読者の裏をかく。
これぞギャグ漫画の醍醐味。
カワイイ担当の花梨がクッキーを焼いてきた。
ところでアマゾンレヴューで、絵柄について具体的な批評がある。
普通同じようなアングルでも微妙に角度が違うものなんですが、
この漫画に出てくるキャラはみんな同じ角度です。
おそらくひとつのキャラモデルを作り、
それを下絵にしてトレースしながら書いてるんだと思います。
そのせいで、二人のキャラの会話劇なのに、
目線が合ってないコマとかがあったりします…。
モサフサによる投稿
するどい指摘で、たしかにヘタだし手抜きかもしれないが、
笑つてるうち慣れ、画一的人物描写はゲーム的演出におもえたり。
違和感は、次第に快感となる。
部長の「桜」は、『ゆるゆり』でいえば京子ポジションだが、
特に百合嗜好もないし、むしろ下ネタに弱く、案外まとも。
おかしいのはスカウターを持ち歩いてることくらい。
本作は、つねになにかと闘つている、ギャグ漫画らしいギャグ漫画。
端々にみられるペットボトルへのこだわりも、すばらしい。
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