『顔のないスパイ』
左がマーティン・シーン
顔のないスパイ
The Double
出演:リチャード・ギア トファー・グレイス マーティン・シーン オデット・ユーストマン
監督:マイケル・ブラント
制作:アメリカ 2011年
主演リチャード・ギアは、元CIA工作員。
現役として起用される歳でもない。
死んだはずのソヴィエトの暗殺者「カシウス」が、アメリカで策動する。
右がトファー・グレイス
相棒はFBIの若造。
しぶしぶ現場にもどり、仇敵をおう。
暗闘。
秘密を吐いた部下が、「カシウス」に襲われる。
エモノは、腕時計のリューズにしこんだワイヤー。
キュルキュルキュル……。
「カシウス」、それはCIAに潜りこんだソヴィエトの工作員だつた。
ギアの挙動のしなやかさは、ネコ科の大型動物に似る。
ワイヤーのかすかな摩擦音のほかは、静寂。
たおやかに殺す。
立つ虎、跡を濁さず。
オデット・ユーストマン
ワカゾーの奥さん。
殺し屋をまねく。
一瞬でも目をはなすと、寝盗られそうな気配。
自宅に来てほしくない男ナンバーワン。
還暦すぎて、なぜこの色気をだせるかと呆れる。
いまジゴロを演じれば、「年寄りの冷や水」と笑われるので、かわりに殺す。
まづ不運な通行人を足ばらい。
この男、標的となんら関りない。
だれもがみる。
背景で、ギアが標的をやさしく抱く。
キュルキュル……ドサッ!
昇天。
となりの妻は、まだ夫の死に気づかない。
三秒の孤独。
血に染まる街路。
リチャード・ギアは、名優ぶらず、大物ぶらない。
「現役」でありつづける、一匹の獰猛な獣だ。
男子たるもの、かくありたい。
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