「畠山直哉展 Natural Stories」

「タイトルなし(もうひとつの山)」#00214 (2005年)

 

畠山直哉 Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ

 

会場:東京都写真美術館

会期:10月1日~12月4日

 

 

 

自然と人間のかかわりを主題とする、畠山直哉の個展。

広大なるローヌ氷河の手前、たよりなげに橋がかかる。

米粒のごとき、ふたつの人影。

卑小さを強調するのか?

または地の果てまで踏破する、不敵さを謳いあげるのか?

写真家の立場は、中立にみえる。

 

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「テリル」#11011 (2009年)

 

石炭の採掘場らしい。

フォークをたてたティラミスの様に、無慚にえぐられた。

母なる大地を汚しているのに、美を感ずる。

 

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「アトモス」#04304 (2003年)

 

製鉄所からでる水蒸気が、雲とまじる。

大らかな作品だが、自然は掻き消されそう。

 

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「アトモス」#06709 (2003年)

 

製鉄所は、火山の模倣だ。

人間が、もつとも神にちかづく場所かな。

 

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「シエル・トンベ」#00219 (1991年)

 

夕暮れの街が、ひとすじの滝となる。

人工物で埋められた空間も、俯瞰すれば自然の一部分。

 

 

 

 

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「ヴェストファーレン炭鉱 I/II アーレン」#00198 (2003年)

 

解体予定の洗炭場の姿を記録するため、写真家はよばれた。

臨終のとき、神父が秘跡をさづけるのに似て。

 

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『洗炭場 2003年11月5日』Nr.3-4 (2003年)

 

アーメン。

解体された建物は、やけに感情をゆすぶる。

 

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「ライム・ヒルズ」LH29214 (1990年)

 

日本は石灰石の国。

自給率は100%。

街にコンクリートを敷きつめるたび、山で不気味な塔がたつ。

自然と人間は、もはや一心同体。

 

 

 

 

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「陸前高田」01‐12 (2011年)

 

ときに亀裂がはしるが。

畠山直哉は陸前高田市のうまれで、震災で母をうしなつた。

自然に対する人間の無力さを、ここに読みとれる。

それでも撮らずにいられない、写真家の業に感動してもよい。

もう見飽きた、見たくもない風景、という感想もあるだろう。

 

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「ブラスト」#12114‐12115 (2005年)

 

採掘現場での、発破の連続写真。

壁に大写しされる動画は、官能的だつた。

発破技師が、飛びちる岩のゆくえを精確に予測することに、写真家はおどろく。

 

彼は岩石の「ネイチュア」を確かに理解している。

彼は地質と地形を確認し、そこに穴を開け、爆薬を詰める。

そして僕に向かって「岩はそこまで飛んでゆく」と予言する。

 

「自然と人間の関係」なんて主題はむなしい。

おそらく自然は、人間なぞ歯牙にもかけない。

ただそれを理解したいと切望する、二本足の生き物がいるだけ。



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