峠比呂『まおゆう魔王勇者 ~丘の向こうへ~』

 

まおゆう魔王勇者 ~丘の向こうへ~

 

作画:峠比呂

原作:橙乃ままれ

掲載誌:『チャンピオンRED』(秋田書店)2011年7月号~

[単行本は「チャンピオンREDコミックス」として、第一巻まで刊行]

 

 

 

魔王城。

世界の命運をかけた決戦。

だが四十三代魔王は巨乳美少女で、どうも勝手がちがう。

角もニセモノ。

 

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ボサボサ髪の魔王が講義をはじめる。

この世の仕組みを知り、ともに変革するため。

 

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勇者が邪悪な魔王を斃せば、世界は平和になる。

そんな「子供だまし」は、もう通じない。

『まおゆう』の原作は、「2ちゃんねる」ニュース速報(VIP)板への投稿で、

未読だが、アップ・トゥ・デイトなファンタジー小説なのだろう。

 

 

 

 

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手をくんだ魔王と勇者は、剣と魔法を封印。

ひとりの力では、世界を変えられない。

まづは食糧生産向上のため、三圃式農業を四回転式にする。

なるほどね。

弱いモンスターで経験値をかせぎ、ボスに挑むRPGではなく、

すすんだ文明で、おくれた文明を制するシミュレイションか。

『ドラゴンクエスト』の舞台で演じられる、『シヴィライゼーション』。

 

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小麦の三倍の生産量といわれる、ジャガイモ栽培をすすめる。

でもさ、だからなに?

中世以降のイノヴェイションを、中世に持ちこめば、成功するに決つてる。

その保證がないから、渦中にいる人間は踏みきれないだけ。

第一、剣と魔法は無意味というなら、舞台がドラクエである必要はない。

オレなら魔法研究に投資し、革新的な魔法を開発させるね。

百倍効率がよい。

ラリホーだけでも、不眠症患者は泣いてよろこぶ。

現代人がうらやむ窮極のテクノロジーに、頼らない理由がどこにある?

結局『まゆおう』も、「子供だまし」だ。

 

 

 

 

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メイド長。

魔王もおびえる、真の支配者?

おそるべきことに『まおゆう』は、現在四誌で漫画が連載中。

石田あきら版(角川コミックス・エース)も買つたが、すぐ閉じた。

峠比呂版は、何回読んでもたのしい。

流麗な曲線。

肢体のやわらかさまで伝わる。

いたづらな微笑み。

 

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女騎士。

魔王が「駄肉」なら、こちらは「絶壁」。

いかなるバストサイズも、あでやかに描きおこす。

おもえば峠比呂の前作は、短編ウェブアニメが原作の『Candy boy』

双子姉妹がイチャつくだけの、無内容の極みといえる漫画だが、

だからこそ面持ちが、衣装が、姿態が、すべてのコマで官能を炸裂させた。

 

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得意の左向き構図。

オレはジャガイモが好きだけど、漫画で見たくはない。

世界には、文明より大切なものがある。

 

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白と黒の魔術。

透明な涙、その熱さまでえがく。

こんなに巧いのに、安つぽい原作つきの漫画ばかりの峠は、

おそらく「絵」にしか興味のない人なんだろう。(※この点に関してはコメント欄を参照のこと)

美少女を描ければ満足。

漫画というテクノロジーは、世界を変えないし、

時代に逆行してる感すらあるが、いまだにオレを虜にする。





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(2011/09/20)
橙乃 ままれ

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No title

丁寧な感想、とても感謝しています。でもオリジナルやらないのは興味がないんじゃなくてやらせてもらえないだけなんですよ。ちゃんと企画は出してますけど、実績が無いので通らないだけです。なので、オリジナルをやれる日までお付き合いして頂ければ嬉しいです。

いつも仕事は本気で取り組んでいますが、まおゆうは今までの仕事よりも3,4倍のネーム時間を費やしています。頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。

峠さん、こんばんは。

確認のしようがありませんが、文面から察するに御本人の様ですね。
わざわざ拙いブログにお越しいただき、ありがとうございます。
シロウトが「先生」呼ばわりも変なので、「さん」付けで応対させてもらいます。

>でもオリジナルやらないのは興味がないんじゃなくてやらせてもらえないだけなんですよ。

配慮の足りない書き方で、大変失礼致しました。
「峠さんがオリジナルに興味がない」なんて毛頭思っていませんが、
たしかに、そういう意見だと受け取られる恐れがありますね。
後で記事を修正しておきます。
ボクも漫画が好きですから、峠さんが「絵が巧いだけの人」でないことはわかります。
特に同じ原作の漫画で比べると、解釈の深さが明瞭に見てとれます。
人物の表情がすばらしいです。
そういう意味で、やはり「絵の人」なんだなあと思っています。
ボクとしては、漫画家への最高の讃辞のつもりです。

>いつも仕事は本気で取り組んでいますが、まおゆうは今までの仕事よりも
>3,4倍のネーム時間を費やしています。
>頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。

三、四倍ですか!
あの複雑な世界をよく漫画に落しこめると感心しましたが、
それだけの御苦労があったんですね。
オリジナル作品、期待しています。
微力ながら、今後も応援させてもらいますね。

No title

証明のしようはないのですが本人です(汗)。これだけきちんと読んで頂けているのは本当にありがたい限りです。読者さんの声を聞くことはなかなか無いので、物凄く力をもらっています。ありがとうございます。まおゆうは、毎回本当にそれくらいの労力をかけてネームを切ってますね。かと言ってCandyboyが簡単だったわけではありませんが(笑)。いつも体当たりだということだけは変わりません。

原作付きでもオリジナルでも、読んだ人が本を閉じた時に元気になってもらいたいの一心でネームを切っています。表情を描く時も同じですね。それが少しでも伝わっているなら、これほど嬉しいことはありません。

僕はきちんと読んで頂けている方のレビューはどんな内容であれ大事に思っています。今回は「いや、興味ないんじゃなくて頑張ってますのであきらめないでみてやってください!」ってことを言いたかったんでちょっとレスさせてもらっただけなので(笑)。これからも遠慮なく感想をぶつけていただければと思います。楽しみにしていますので。

峠さん、こんばんは。

二度もコメントをいただけるとは驚きです!

>まおゆうは、毎回本当にそれくらいの労力をかけてネームを切ってますね。
>かと言ってCandyboyが簡単だったわけではありませんが(笑)。
>いつも体当たりだということだけは変わりません。

『Candy boy』も、いろいろな試みが詰まったコミカライズでしたよね。
ボクは原作つきの漫画が結構好きなんです。
描き手の絵の魅力を、純粋に楽しめる気がします。
オリジナルを読みたいという気持ちも、もちろん強くありますが。

>今回は「いや、興味ないんじゃなくて頑張ってますので
>あきらめないでみてやってください!」ってことを言いたかったんで
>ちょっとレスさせてもらっただけなので(笑)。

いえいえ、ボクは峠さんのことを誤解していたと思います。
失礼ながら、いとも簡単にスラスラと流麗な絵が描ける、
クールな絵師さんというイメージがありました。
こんな場末のブログで思いの丈を語る、熱い方とは想像できませんでした(笑)。
なので、こちらこそ嬉しかったです。
最近はツイッターなどで垣根は低くなってますが、それでも感激ものでした。
今後はネームの切り方など、また違う角度で作品を楽しむことができそうです。
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苑田 謙

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たまにオリジナル小説。

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