ウィスキーとブロンド女の戦争―「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」をみて

ハインド

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
Charlie Wilson's War
出演者:トム・ハンクス ジュリア・ロバーツ フィリップ・シーモア・ホフマン
監督:マイク・ニコルズ
(2007年/アメリカ/100分)
[新宿プラザで鑑賞]

上の写真はソ連の戦闘ヘリMi-24、通称ハインド
昆虫っぽい外観がかっこいい
12.7mm弾の直撃にたえられる装甲と圧倒的な火力をもち、アフガニスタン侵攻では空の主戦力として広範に運用された
どんなに勇敢な兵士でも、ハインドのローター音をきけばふるえあがるそうな
そしてこの映画の敵役でもある
それに対する主人公は、テキサス州選出の下院議員チャーリー・ウィルソン
無名だが海軍出身で国防予算に影響力をもつ人物らしく、CIAをつうじてアフガン兵に物資を供与するようはたらきかけた
冷戦…そんなふうによばれる戦争があったんですよ
とくに最新の地対空ミサイルだったスティンガーはハインドにたいし有効で、一説では300機以上を撃墜しソ連軍に甚大な被害をあたえたとか
さえない一議員が大国相手の戦争を左右し、はては世界の歴史までうごかしてしまうという破天荒な物語
あら筋をおうだけでも一見の価値ありです

出演はトム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマンなど
あまりすきでない役者がそろってしまった
しかし監督は超ベテランのマイク・ニコルズで、フォレスト・ガンプやプリティ・ウーマンなんて大ネタをじつにうまくさばいている
事実をもとにした映画で、題材は冷戦
これ以上おもい脚本はそうないといえるのに語り口は軽妙でテンポがいい
中心人物の三人のキャラがたっていて毒舌をはきまくり、おれはゲラゲラとわらいころげた
冒頭でうつされる異様にでかい星条旗など映像的にもすぐれた場面がおおく、まるでフェリーニの映画をみるようなたのしさがあった
男たちはみな癖がつよいけれどプロフェッショナルで、女たちは色っぽくてかわいらしい
いまどきめずらしい映画らしい映画っていうんでしょうか

プロデューサーもつとめたトム・ハンクスはこの役にずいぶん入れこんでいる
ホテルのパーティーの場面から話がはじまるのだが、ストリッパー3人とジャグジーにはいって酒をのんだりコカインをすったり
(この件で連邦検事時代のルドルフ・ジュリアーニに逮捕されかける)
そして事務所のスタッフはみなおっぱいのおおきな美女ばかり
いかれたテキサス野郎というかんじでおおいに親近感をもってしまった
いやもちろんおっぱいだけじゃなくて、政治姿勢もふくめてですよ
政治家としては、難民の悲惨な境遇を目のあたりにしてアフガン侵攻の現実をしり、戦争をおわらせるために世界中をとびまわりながらあらゆる手段をつくす
一見ゆるい演技なのに、いつのまにか物語にひきこんでしまうのがトム・ハンクス節
まあ個人的な好みからいうとちょっとまじめすぎなんだけど

ジュリア・ロバーツはテキサスのゴリゴリの反共産主義の大富豪の役で、資金面でアフガンのゲリラを支援する
出産のあと映画からとおざかっていたらしいが、これだけセクシーでキュートなジュリアは休養前もふくめてひさしぶりなのではないか
かの女も40歳で、撮影中は3人目の子どもをみごもっていたというのにビキニ姿の場面もあり!
これが女優魂か…でもそれがいい!
チャーリーとは男女の仲にあり、ことがおわったあとの会話が素敵だった
へたくそな映画ならベッドの上のありきたりのかけ合いでお茶をにごすが、熟練工のニコルズはその行為自体はうつさない
バスタブにつかるトムのとなりで、ジュリアが化粧をなおす
いかにもおとなの関係にみえる
そして安全ピンの針先でまつ毛をいじりながらハインドの装甲の厚さについて熱くかたる
テキサスにはすごい女がいるもんだな…

フィリップ・シーモア・ホフマンの役はギリシャ系のCIA工作員ガスト・アブラコトス
作中ではだれにも名前をただしく呼んでもらえないのがわらえる
なりきるタイプの役者で、へんな髪型、ヒゲ、眼鏡でギャグっぽさをのこしつつも、どす黒い工作活動に人生をついやしたスパイにみえるからすごい
すべてのセリフに例の4文字単語がはいるほど猛烈に口がわるく、主役をくってしまいそうな役柄だが、共演者の個性も相当なのでバランスはとれている

すでに文章がずいぶんながくなって申しわけないが、もうひとつ書かねばなるまい
チャーリーのスタッフの美女たち(通称・チャーリーズエンジェル)のひとりとして、エイミー・アダムズも出演してる
ちいさい役だがつねにチャーリーにつきそうので出番はおおい
ふ~ん、「魔法にかけられて」にでてた女優さんか
あれ…か、かわいいじゃん…
くせのないブロンドで、ぱっちりとした瞳は澄んだライトブルー
33歳にしてはカマトトぶっているが、どこかすっとぼけた愛嬌があってひきつけられる
チャーリーにほのかな好意をいだいているらしく、秘書のくせにジュリアにたいして嫉妬心をあらわにするさまがあいくるしい
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」では歯の矯正中の看護婦の役ででてたのか…たしかにかわいかったけどチョイ役だし名前まで意識しなかったよ
ちくしょう!
「魔法にかけられて」はみのがした!
でもお姫さまの映画を男ひとりでみにいくわけにもいかないだろ!
どうせまわりはカップルか家族づればかりだろうし
でも恥をしのんでいくべきだった!
おれの女優センサーもにぶってきたのか

ソ連軍が撤退したあともアフガニスタンの混乱はつづき、テロリストがおおくながれこんで9.11の作戦をすすめる基地となってしまった
アメリカ政府は戦闘行為には協力したが、学校や道路の建設といった社会インフラの整備には金をださなかったのが恩をあだでかえされた原因といえる
ちょっとにがい結末だ
だからといってチャーリー・ウィルソンのやったことを批判するのはフェアじゃない
だれが世界が10年後にどうなるか予測できるだろう?
まあそれはともかく、戦争がモチーフなのにみょうに女優がいきいきとしているふしぎな映画でした
うつくしい女性にかこまれながら酒をたのしみ、そして世界をちょっとよくすることができれば、それは最高の人生なのではないだろうか
まあわたしが美女にせっするのは映画館のスクリーンが主なんですが…

エイミー・アダムズ

瞳とおなじ色のドレスをきたエイミーさんです
やっぱりかわいいなあ
ぼくもいつかこんな秘書をやといたいですね
ちょっと二の腕がりっぱにもみえますが
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