「名物刀剣」展

名物刀剣 宝物の日本刀

 

東京展会場:根津美術館

会期:2011年8月27日~9月25日

 

 

 

はじめて本気で好きになつたミホちやん。

おそらく一番ふかく愛しあつたサトコ。

いま気になつている、やさしいヨーコさん。

ボクはまるでモテない男だけど、

信じられないほどステキな女性たちにめぐりあえた幸運に感謝したい。

世界一うつくしい人形よりうつくしかつたミホちやんは、

だれのお嫁さんになつたのかなあ?

でもそんな大切な記憶もかすむ。

どうでもよくなる。

日本刀を目の前にすると。

 

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「名物 南泉一文字」(刀 無銘 一文字/鎌倉時代・十三世紀)

 

刃文はみだれつつも、野卑ではない。

しめやかで、端正だ。

もとは室町将軍家所蔵品で、研ぎに出され壁にかけてあつたとき、

たわむれに飛びついた猫がまつぷたつになつた、という言い伝えがある。

猫アレルギーの女教師、といつた風情。

 

 

 

 

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(刀 金象嵌銘 光忠・光徳(花押)/鎌倉時代・十三世紀)

 

織田信長の愛刀。

この写真だと刃文がすさまじくみえるが、

現物はもつとしづかで、幽玄の像をみせる。

ドライアイスの白煙たちこめる舞台の様。

さて、いくさという夢幻能を、一舞いしようか。

 

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「名物 義元左文字」

(刀 金象嵌銘 永禄三年五月十九日 義元討捕刻彼所持刀 織田尾張守信長/南北朝時代・十四世紀)

 

尾張守の事績がきざまれている。

桶狭間で討ちとつた、今川義元から召し上げたもの。

義元の腰にあるときは二尺六寸の太刀だつたが、

信長はこれを磨り上げて刀とした。

英雄児は、命懸けで手にしたトロフィーだろうと、

おのれの好みにあわねば容赦しない。

刀、つまり武と美の結晶へのこだわりが、垣間みえる。

 

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「名物 物吉貞宗」(脇差 無銘 貞宗/鎌倉?南北朝時代・十四世紀)

 

徳川家康最愛の脇差とされる。

御三家筆頭・尾張家でも格別視され、代々当主の身ぢかにおかれた。

しかしこの一振り、日本刀らしい妖気にとぼしい。

スイスの職人がつくつたと言われたら信じるだろう。

とはいえ途轍もなく斬れそう。

家康は実用一点張りの人だつたんだな。

 

 

 

 

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「名物 朝倉藤四郎」(短刀 吉光/鎌倉時代・十三世紀)

 

今回の展覧会で、もつともお気にいり。

細身で反りはなく、凛然たるたたずまい。

たとえ国宝だろうと、彫りのある刀なんて嫌いだ。

タトゥーをみせびらかす女みたいで。

ボクは色白でほそくて姿勢のよい女が好きだけど、

刀剣の嗜好と一致しているのが笑える。

三島由紀夫めいた妄言など吐きたくないが、

美術館でおもわず、「これで腹を切りたい」とつぶやいた。

 

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「八文字長義」(刀 無銘 長義/南北朝時代・十四世紀)

 

大乱れの刃文。

くだけちる波のごとく、飛び焼きがちらばる。

情緒不安定な女の脳波みたい。

ツンデレキャラか。

惣流(式波)・アスカ・ラングレーを髣髴させる。

「八文字」の由来は以下のとおり。

北条氏政の大軍をむかえうつ、佐竹義重が太刀をふるい、

北条方の騎馬武者を一撃したところ、

敵は兜もろとも二つに割れ、馬の左右に八文字形となつて落ちた。

 

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「大左文字」(太刀 左/南北朝時代・十四世紀)

 

にぶく黒光りする作。

まさしく鍛えあげたハガネだ。

意外と肌理はこまかく、地味ながら吸いこまれそうになる。

美人だけどマジメな、女子テニス部部長といつた気配。

くだらない連想ばかりで恐縮するが、ほかにふさわしい比喩はみあたらない。


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