ネットワーク

 

アンストッパブル

Unstoppable

 

出演:デンゼル・ワシントン クリス・パイン ロザリオ・ドーソン ケヴィン・ダン

監督:トニー・スコット

制作:アメリカ 2010年

[ユネイテッド・シネマとしまえんで鑑賞]

 

もつとも絵になる役者、それは機関車のことだ。

その力強さと、親しみやすさ。

人間風情のおよぶところではない。

 

T・J・ミラーとイーサン・サプリー

 

ペンシルヴェニア州の鉄道が舞台の『アンストッパブル』は、

鉄道会社の内幕をえがいていて、マニアではないボクも興味がひかれた。

下つ端の運転士は、かたい結束をほこる労働組合にまもられ、

ダラダラと油を売りながら仕事をする。

 

 

彼らの不注意が原因で、無人の貨物列車が力行状態で暴走!

 

 

三十九両編成の列車は、ディーゼル燃料と有毒化学物質をつんでいた。

所かわれば鉄道もかわる。

自動車や航空機が発達した今日のアメリカは、

実は貨物列車が大盛況で、国内貨物輸送の約四割を占めるらしい。

ほとんどの路線は電化されておらず、ディーゼル機関車が自力で疾走。

外から、この巨大兵器をとめる手立てはない。

 

ロザリオ・ドーソン

 

ノンキな報告をきいた操車場長は、目を白黒。

あわてて四方八方に協力をあおぐが、すでに取り返しのつかない事態になつていた。

 

ケヴィン・ダン

 

こちらは、本社から指令をくだす運行部長。

ヘリコプターをとばす珍作戦は、みじめな失敗におわつた。

下つ端はサボるが、お偉方は目の前のリスクから逃げたがる。

組織の上も下も、だれもが互いに責任をなすりつけ合うのが、

会社や役所という場所であり、洋の東西でかわりはしない。

 

 

さていよいよ、真打ち登場!

空気をよめない「主演女優」の一人芝居に太刀打ちできるのは、

オスカーを二度さづかつた、デンゼル・ワシントンしかいない。

ちなみに列車を女優あつかいするのは、かならずしも比喩ではなく、

彼女の映画のなかでの代名詞は「she」だつた!

 

 

 

 

 

ソーシャル・ネットワーク

The Social Network

 

出演:ジェシー・アイゼンバーグ アンドリュー・ガーフィールド ジャスティン・ティンバーレイク

監督:デヴィッド・フィンチャー

制作:アメリカ 2010年

[ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞]

 

『ソーシャル・ネットワーク』は、「フェイスブック」というサイトを立ち上げた若者たちの物語。

それにしても、しまらない絵だこと!

ネット企業なんて題材は、どうも侘しいものがある。

 

主演のジェシー・アイゼンバーグ

 

創業者マーク・ザッカーバーグの着こなしのダサさは、GAPの逆宣伝だ。

ハリウッド映画は入念に調査してつくられるため、個人的にまるで縁のない、

ハーバードなどアメリカの名門大学の内情が、身も蓋もなく暴かれていて楽しい。

青春映画といえばパーティの場面が見どころなのだが、

ユダヤ系の学生の集まりでは、だれも踊らない。

ユダヤ人はアジア人とおなじく、ダンスが苦手なんだつて!

 

 

ジャスティン・ティンバーレイクの役は、ファイル共有サイト「ナップスター」をつくつた男。

ミュージシャンに音楽業界の敵を演じさせるなどという、

ピリリときいた皮肉が、スレッカラシの映画ファンにはたまらない。

 

アンドリュー・ガーフィールド

 

大学の寮の窓にかいた数式が、世界に波紋をひろげる。

本作は学生が浮かれ騒ぐだけの、単なる青春映画ではない。

『ゴッドファーザー』にちかいか。

東海岸にすむ少数民族のさえない若者が、

痛々しいほどアメリカの権門への憧れをいだきながら、

一方で敵愾心を剥き出しにして、なりふりかまわず成り上る。

無表情のなかに、ドス黒い情念と鋭利な智性がひらめくアイゼンバーグは、

アル・パチーノの生れ変りにみえた。

 

 

 

 

 

大変おもしろい作品だが、絵と音はつまらない。

ひたすらカタカタという打鍵音と……

 

 

……マウスのクリック音が支配する。

 

 

そして、ディスプレイに照らされるマヌケ面。

いままさにボクがおこなつている作業なのだが、

コンピュータ、これほどスクリーン映えしない道具もめづらしい。

 

 

PCが「小道具」らしい存在感をみせるのは、親友と喧嘩して壊されるときくらい。

マイケル・コルレオーネは、銃把にテープをまいたリヴォルヴァーで、

マクラスキーとソロッツォを殺し、震える手からレストランの床にゴトリと凶器をおとす。

あの鉄の重み、冷たさ、そして鈍い音。

どんな巨匠でも、プラスチックでうつくしい場面を撮るのは至難だろう。

 

 

ふたたび『アンストッパブル』に戻りまして。

「さつさとあの売女を止めようぜ」と、クリス・パインが口走る。

 

 

赤い装いの「ビッチ」のふてぶてしさ!

人を人ともおもわず、おのれの欲望だけにしたがう。

線路はきしみ、くるしげな悲鳴をあげる。

 

 

連結器に足をはさまれるクリス・パイン。

その痛みは想像を絶する。

 

 

全長八百メートルのミサイルが、市街地に突入。

鉄道は、われらの生活に欠くべからざるネットワークだ。

映画にしたときの説得力が桁外れ。

インターネットなんかとは歴史の重みがちがうわよと、彼女は得意げに言うのだろう。


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