清秋の星座 ―― なでしこリーグ 第17節 ベレーザ-アンクラス

『週刊サッカーダイジェスト』(日本スポーツ企画出版社)10月19日号

 

なでしこリーグ 第17節 日テレ・ベレーザ-福岡J・アンクラス

 

結果:3-0 (2-0)

得点:29分 大野忍 40分 大野忍 78分 岩渕真奈

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

秋風よりも、すずやかな。

猶本光(なおもと・ひかる)。

福岡J・アンクラス所属の十六歳を、この目でみたくて西が丘をめざした。

U-17ワールドカップで準優勝し、トリニダード・トバゴから銀メダルを手土産にしたひとり。

だから、日本一サッカーが上手な女子高生のひとりなのは確実だし、――

 

 

――日本一の美少女のひとりだ、とつけ加えても過言ではない。

むかえうつベレーザには、十七歳の岩渕真奈がいる。

時の流れほどおそろしいものはなく、超然たる閃光の天使でさえ、

後続走者から目標にされ、その足音を背後にきく日々をすごす。

ふたつの超新星が交錯するとき、どんな歴史画が虚空にえがかれるのか。

 

 

 

 

 

左側面に、岩渕真奈が。

「勝つているチームはいじらない」がサッカーの鉄則だが、

鉄則とは、その誘惑があまりに強いことを證明するためにあるのか。

意外と不器用な十七歳は20分すぎ、より居心地のよさげな右にもどつた。

カントクの指示があつたかどうか、しらない。

それにつられ、アンクラスの中盤の布置が線対称にかわる。

どうも三十歳の正手亜希子に、わかきドリブラーを警戒させたかつたらしい。

天球儀がまわり、星たちは上下左右し、勝敗が決した。

あれほど御真影に見惚れた猶本光は、かぶりつきのスタンドからなのに、

キレイな顔だちでマジメそうな、変哲もない女子高生にしか見えなかつた。

夜行性の肉食獣のごとく、貪婪にひかるあの瞳、

岩渕真奈という存在の特異性をおもいしらされる。

 

 

 

「攻守の切り替えをはやく」、これもまた鉄則なのだが、

岩渕真奈は、その片道にしか熱心ではない。

ときおり、わざとゆつくり帰陣する様にみえる。

反撃の際、最前線でボールを受けとりたいからか。

ボクは戦術に無智で、滑稽な発言をしているかもしれないけれど、

彼女は「2トップ」の布陣を、自分の好みで「3トップ」に変えてないか?

幼稚な有限数列で、戦術をかたることに意味があるとして。

78分。

右の廻廊を駆けぬけ、右足をふりあげる。

ほとばしる閃光、切り裂かれるゴールネット。

岩渕真奈は、星座図にはのせられない。

彼女は蒼き彗星で、その軌道が網膜にうつりし刹那、消失する。

 

 

 

ぶっちー情報は、掲示板『岩渕真奈 閃光の天使』でも紹介しています。


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テーマ : 岩渕真奈
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