変な本、ナシーム・ニコラス・タレブ『まぐれ』

サブタイトルは「投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」
わかりやすいような、そうでもないようなタイトルだ
原題はFooled by randomness: The hidden role of chance in life and in the markets
(ランダム性にだまされて-人生と市場における偶然性の隠れた役割)
やはりこっちの方がいい
この本ではビル・ゲイツやウォーレン・バフェットの成功は運によるものにすぎないと斬って捨てるが、
著者はべつに彼らの悪口を言いたいわけではなく(それも少しはあるかもしれないが)、
「偶然」の果たす役割の大きさをなかば学問的に、なかば雑談風に宣伝する本だからだ
運ってすごい!偶然ばんざい!能力なんて屁の河童!
だから、金融市場に興味がない俺でも楽しく読めた

預金残高がさびしい俺がなんでこの本を買ったのかというと、
本屋で中身を見たとき、ポパーについて面白い記述があったのに気づいたからだ
数理系トレーダーのくせに意外と教養があるらしい
「ポパーの私生活は非ポパー的だった」とか冷めた書き方をしてるのがいい
あんなに立派で民主的ないい本を書いてるのだが、ポパーほど嫌な奴はそういない
あと自称哲学者のジョージ・ソロス(一応ポパーの弟子)はポパー哲学を投資に応用し大儲けしたが、
彼の書く本はポパーに遠く及ばないゴミであることも書いていてニヤリとした
悪口たっぷりの本って好きだなあ!
皮肉や悪口が一文ごとに顔を出し、話題もあっちこっちに飛ぶある種の悪文だが、
一方で哲学・文学的な裏打ちも感じられ、実に個性的だ

悪文と書いたが、たぶん翻訳が悪いんだと思う
同じ訳者の「ヤバい経済学」も楽しめたが、読みやすい訳ではなかった
俗語を多用してカジュアルな訳文を狙っているんだろうが、つながりが悪く読みづらい
アメリカのオジサンに日本の若者言葉を使わせるのは勘弁してほしい
日曜洋画劇場的な滑稽さを感じさせないことが翻訳者の重要な仕事の一つだ

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