氷解 ―― なでしこリーグ 第9節 ベレーザ-浦和レッズ

 

なでしこリーグ 第9節 日テレ・ベレーザ-浦和レッドダイヤモンズレディース

 

結果:0-3 (0-0)

得点:56分 西田明美 70分 北本綾子 75分 藤田のぞみ

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

残暑という名の灼熱地獄にも負けず、

メインスタンドを占拠した浦和レッズのサポーターは、

いつもより溌溂と、審判団と相手チームに罵声をあびせた。

九十分間、すべてのプレーに。

気温はそのまま、あくまで心理的に、スタジアムの空気がこおる。

かき氷をふくむ口だけつめたいのに似ている。

野太い声で威嚇されたら、どんな女でも帰り道が不安だ。

新川里佳子主審が顔色をうしなつたのは、熱中症のせいではない。

もとより浦和レッズは、サポーターの上品さでしられるクラブではないが、

目にあまる兇暴さは、先週の敗北の責を主審におわせた事情による。

 

はっきり書こう。

審判に試合を壊された記憶はあれど、

審判に試合の勝敗を左右する誤審をされるとは夢にも思わなかった。

二度と浦女の試合で笛を吹いて欲しくない。

むしろ、二度と主審として活動して欲しくない。それ程に怒りを覚えた。

 

SHOWさんのブログ『feeling for the glory』

 

七日まえにMVPの栄誉をさづかつた岩渕真奈は、

フライパンで焦げつき、最下等選手賞を獲得しかねなかつた。

対戦相手も試合会場もおなじなのに、不思議なものだ。

ボクらの大切ななにかが氷解し、じきに虚空へ蒸散した。

 

 

 

当ブログはこの日のMVPを、浦和レッズサポーターにささげる。

恥しらずにも集団で女をおびやかし、試合を優勢にみちびいた功をたたえたい。

偏見とおもわれると嫌だから、他のかたの報告もあげておく。

[例1][例2][例3][例4][例5][例6][例7][例8][例9]

みごと浦和レッズは首位をうばい、そしてかのチームの順位よりも、

魅力的なサッカーをもとめて西が丘をおとづれた観客を不快にし、

女子サッカーの価値を台無しにすることにも成功した。

批難するつもりはない。

ただ見たまま、書きしるすだけ。

ニューヨークのツインタワーをこわした組織を責めないのとおなじだ。

その行為がイスラームの大義にもとづくというなら、聞く耳などもつまい。

比喩が不穏当すぎる?

いや、そうでもない。

さきほど引用した、SHOWさんの記事をざつと読んでみよう。

 

一番の誤審は岩倉の退場とベレーザのPK獲得。

逆のゴール裏からでも、笛が鳴ったとき

伊藤と競っていたのは藤田で岩倉ではないと認識していたし、

元より笛を吹くまでのプレーだったか疑問に感じた。

 

ボクはぶっちーの傍にいたくて、バックスタンドの左側にいたから、

この瞬間を目と鼻の先で目撃している。

記憶能力にめぐまれなくて、ベレーザ選手と接触したのが藤田か岩倉かわからない。

おそらく両方だろう。

だが赤い壁をぶちぬいた原菜摘子の雄姿は、くつきり脳裏に焼きついている。

伊藤香菜子は、あとでPKを決めただけ。

SHOWさんは「伊藤」だと二回書いているから、これは誤記ではなく誤認。

おそるべきノータリンもいるものだ。

なにが「二度と笛を吹くな」だ、冗談は休憩しながら言つてくれ。

サッカー好きのウサーマ・ビン=ラーディンがよめば、臍で茶をわかすだろう。

くりかえすが、かれらが悪いとはいわない。

もともとこの競技は、宗教性が色濃い。

優勝をのがした現実から目をそむけ、無実の人に罪をなすりつけ、

妄想からうまれた憎しみがスタジアムをみたし、つぎの試合をうごかす。

この理不尽さも、サッカーの構成要素のひとつだ。

 

 

 

 

 

浦和レッズは、ゴールキーパーを山郷のぞみに戻した。

先週そこにいた小金丸幸恵は、経験を積ませるため起用したらしい。

キーパーひとりで、ここまでチームがかわるのかと感心した。

その安定性。

ふてぶてしさ。

フィールドに怨嗟の嵐がふきあれ、やりきれなくなつても、

ひとたびゴールの前をみれば、ボクらはすこしだけ安心する。

背番号1だけは、くまなく輝くダイヤモンドの結晶で、

ぎらつく炎天のもとでも、とけて消えたりしない。

サッカーはときに醜悪だが、すべてが無価値なゴミでもない。

ボクは十月にさいたま市で、また怒号に鼓膜を傷つけられるだろう。

でも今度は負けずにこう叫ぶつもりだ。

「ぶっちー、がんばれ!」つてね。


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テーマ : 岩渕真奈
ジャンル : スポーツ

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