『小さな命が呼ぶとき』
小さな命が呼ぶとき
Extraordinary Measures
出演:ブレンダン・フレイザー ハリソン・フォード ケリー・ラッセル
監督:トム・ヴォーン
制作:アメリカ 二〇一〇年
[TOHOシネマズ シャンテで鑑賞]
ほぼ毎週ブログでとりあげるので、管理人は「映画通」とおもわれがちだが、
別にくわしくないし、趣味もかたよつている。
単に知つたかぶりが得意なだけです。
たとえばホラー映画は大嫌いで、まつたく見ない。
人の生命をもてあそんで、一体なにが楽しいのか?
おなじ理由で、「難病もの」も性にあわない。
ミスター・アンド・ミセス・クラウリー。
「ポンペ病」は筋力低下をもたらす遺伝子病で、治療法はありません。
発病者の平均寿命は九年、ふたりのお子さんの治癒の見こみは薄いですが、
いまの苦しみから逃れられるのだから、それも恩恵と考えてください。
医師から、神のお告げがつたえられる。
よよと泣きくづれる母、沈黙する父。
……のはずがアレレ、反応が通例とことなるぞ。
つまり本作は、医療者など意に介さない「難病もの」だ。
『ハムナプトラ』では、二丁拳銃であばれたブレンダン・フレイザーが、
スマートフォンを思いのまま使いこなす。
ハーバードのMBA取得者が電話をかけた相手は……
インディ・ジョーンズだつた。
ほら、映画通でなくても見たくなるでせう?
新旧の冒険者が手をくみ、難病にたちむかう。
ハリソン・フォードの役は生化学者。
治療法がなければ自分で作ればよい、という成り行きで、
ふたりは新薬開発のためのバイオベンチャー企業をたちあげる。
インディ・ジョーンズは、あれでも名門プリンストン大学の考古学者だが、
さすがにハリソン・フォードに白衣は似合わないとおもつていた。
なのに頭のなかは分子式で一杯の、頑固一徹の科学者がそこにいる。
下積み時代は、相当腕のよい大工だつたというフォードは、
たくまずとも「職人」の雰囲気を醸しだせるのかな。
インディとポンペ病患者が対面する場面。
個人的にお気にいりだ。
「奥さんはいるの?」
「元妻ならふたり」
「へえ、なんでそんなことに?」
「……いろいろあるんだよ」
女(とヘビ)に滅法よわくて、ついついタジタジとなるあたりが、
『インディ・ジョーンズ4』よりインディらしくて、ニヤニヤさせられた。
クラウリー家の娘役、メレディス・ドローガーもよかつた。
すばらしい作品なのだけど、ケチをつける人もいる。
作品名をグーグルで検索して最上位にきたブログ、
『LOVE Cinemas 調布』を例に挙げさせてもらう。
ボクなりに、書き手である「KLY」さんの御意見をまとめます。
「難病もの」がすきな私は、ティッシュの用意をして楽しみにしていた映画なのに、
物語は病気の子供ではなく、その父が軸だつたのでガッカリ。
子供もかわいくなくてイマイチだつた。
なので星三つ。
率直にいつて、吐き気をもよおさせる文章だつた。
「KLY」さんは、これまでよほど幸せな人生を送つてこられたのだろう。
(映画プログラムから)
実在のクラウリー家をおさめた写真。
事実は映画より奇なりというわけで、
役をあたえられた俳優より美男美女の夫婦におどろく。
しかし両脇のこどもは、筋力低下をもたらす疾患の影響で、
見た目は健常者とことなるし、まともに話すこともできない。
映画は、やりすぎなくらい美化しているのだ。
子供が不治の病をわづらうことが、どれほどの悲劇か、
想像力を一ミリでも羽ばたかせるのは不可能なのかな?
所詮は映画だから、オモシロければそれでよい。
そうかもしれない。
だとしたら、ボクは絶対に「映画通」になどなりたくない。
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