十進法の天使 ― なでしこリーグ 第1節 ベレーザ-伊賀FC

 

なでしこリーグ 第1節 日テレ・ベレーザ-伊賀フットボールクラブくノ一

 

結果:3-0 (1-0 2-0)

得点者:6分 岩渕真奈 81分 永里亜紗乃 90+1分 宇津木瑠美

会場:西が丘サッカー場

[現地観戦]

 

 

 

ぶっちー、ようやく髪切つたんだ。

『サッカーダイジェスト』四月十三日号の特集では、

ボサボサの髪に熱狂的ファンですら落胆した。

 

 

春休みの宿題をなげうつて、美容院に駆けこんだ様だ。

それにしても身づくろいを、雑誌の取材ではなく、

リーグ戦開幕にあわせるところが彼女らしいというか。

見当ちがいの方向にむけられた、「女子力」。

そしてけふは、地元でついに背番号10をお披露目した。

あまりの違和感のなさに、違和感をおぼえた。

十進法という記数法は、彼女のために編みだされたのか?

ベレーザの星川敬監督はかつて、自分の力量不足を棚にあげ、

ぶっちーに「代表の青いユニフォームの方がよいのか」と言つたらしい。

「あたしがサッカーで手を抜くわけねーだろ!このメタボ野郎!」と、

つぶらな瞳に怒りの炎が燃えたことは、容易に想像できる。

緑色を象徴とするクラブは、さすがにチームカラーは変えられず、

かわりにエースナンバーを新高校三年生にささげた。

 

 

 

 

 

伊賀国から忍びこんだくノ一が、西が丘でゲリラ戦を展開する。

昨季は二部リーグ所属だが、それはかりそめの姿であり、

変幻自在の妖術で、緑の軍勢をもてあそんだ。

ズタズタ、ボロボロ。

24分にベレーザが、中盤のふたりを同時に入れかえる。

この非常事態宣言は、さらなる混乱をまねいた。

カントク、わけわかんない!

点取り屋のぶっちーは、左側面に放置されたまま。

たまに彼女がボールをもつと、くノ一は「タテ!タテ!」と符帳をさけぶ。

縦をきつて突破を封じろという意味らしい。

イライラ、ウズウズ。

コーナーキック後のドサクサにまぎれ、ドリブル自慢の木龍七瀬と持ち場をかわる。

天使の右足がうなり、クロスバーはたからかに鐘音をひびかせた。

しかし、「忍ぶ者」と書いてニンジャとよむわけで、敵はすこしも狼狽しない。

 

 

 

あくびとため息がスタジアムをみたす。

ボクは雨がふろうが槍がふろうが、岩渕真奈を追う気はある。

でも槍がふれば避難すればよいが、退屈からは逃げられない。

おそらく、忍者でさえ。

これからの一年をおもうと憂鬱になる。

え、試合はどうなつたかつて?

勝ちましたよ、勿論。

ジェットガールがうばつた先制点を、なんとか維持しながらね。

背番号10がかける魔法は、忍術よりずつと強力だから!


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テーマ : 岩渕真奈
ジャンル : スポーツ

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