師弟ふたたび ― 『誰かが私にキスをした』

 

誰かが私にキスをした

 

出演:堀北真希 松山ケンイチ アントン・イェルチン

監督:ハンス・カノーザ

制作:日本 平成二十二年

[ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞]

 

 

 

 

レイトン先生と映画を御一緒するのは初めてですね。

うれしいです!

先生は映画にもお詳しいので、いろいろ教えてください。

 

現代人の教養に、映画という藝術形式は欠かせないからね。

日本には「花見」とよばれる風習があるが、それは来週にまわそう。

ではルーク、チケットを買つてきてもらえるかな。

 

あ、先生!

売店の方はボクが行きます!

ビールを召しあがりますか?

 

ルークはチケット売り場に行きなさい。

食べ盛りのキミの好みは、把握しているよ。

ホットドッグ、マスタードたつぷり、これでよいね?

 

…まさか先生、けふボクを誘つたのは、

『誰かが私にキスをした』という映画のチケットを、

自分で買うのが恥づかしいからですか?

 

飲み物はジンジャーエールにしよう。

おやルーク、まだそんなところにいたのかい?

未来の英国紳士なら、はやく義務を果たしたまえ。

 

 

 

 

ナゾ001:「なぜ堀北真希はうつくしいのか?」

 

さつきの先生の目、こわかつた…。

日本にくるとロクなことがないなあ!

でもボクも、堀北真希さんは奇麗だとおもいます。

ショートカットがよく似合つて、少年みたいで、

なんだか他人におもえません。

それにしてもレイトン先生、今回わざわざ日本にきたのは、

堀北さんの主演作を見るためだつたのかな?

だとしたら騙されたというか、納得がゆかないな…。

 

 

ナゾ解明!:「それが彼女のカルマだから」

 

ルークも女性に関心があるとわかり、安心したよ。

ひいでた頬骨、格調高くはしる鼻梁。

モーツァルトのアリアを連想させる美貌だね。

だがそれより、彼女の肢体の女めかしさを指摘したい。

 

 

堀北真希は、宝物を隠すかの様に厚手の服をこのむが、

力づよくラガーシャツの生地をもちあげる胸のふくらみを見れば、

たおやかな外形を消したがる事情を理解できる。

 

 

鏡にむかい、にこやかに髪をきる堀北。

自分の女らしさを捨てることが、嬉しくてしかたないのさ。

 

 

 

ナゾ002:「なぜこの映画は名作なのか?」

 

先生は、堀北さんの胸ばかり見てたんですね。

なんだかガッカリです。

それにボクは、女の子に関心なんてありません。

いまは先生のもとで、ナゾ研究に専念したいのに…。

あと、この映画が名作だなんて何かの冗談ですか?

東京のアメリカンスクールが舞台ですが、

監督や脚本家がアメリカ人であるせいか、まるで現実味がないし。

玉突き事故みたいに、男女がついたり離れたりするのはキライです!

 

 

ナゾ解明!:「堀北がうみだすカオスがすばらしい」

 

ふむ、ルークはマジメだね。

堀北真希は階段でころんで頭をうち、四年間の記憶をうしなつた。

病状がわかつた瞬間に、三人の男が殺到する。

だれが恋人だつたか覚えてないから、早い者勝ちだ。

病気という弱みにつけこむなんて、実に卑怯な連中だよ。

うつくしすぎることは、それだけで災厄なのさ。

 

 

ジャニーズ事務所所属タレントに大喝する。

ラシーヌの悲劇を演ずる様な気品があつたよ。

うつくしく生まれたことは罪で、あらがえない運命で、

そこでもがき苦しむほど女はうつくしくなる、という皮肉が胸をうつ。

 

 

 

ナゾ003:「女優・堀北真希は成功できるか?」

 

「ジャニーズ事務所所属タレント」つて、手越祐也さんのことですか?

堀北さんの相手役は、名前を出すのもイヤなんですね…。

わかりました、もうなにも言いません。

映画自体は感心しないですが、堀北さんは新鮮な魅力がありますし、

ボクがいうのもなんですが、彼女はまだ二十一歳とわかいので、

これからの成長が期待できるとおもいます。

陰ながら応援したいです!

 

 

ナゾ解明!:「おそらく無理だろう」

 

堀北真希は、女優として枢要な条件が欠けている。

たとえばインタビューでは、こう語る。

 

―友人や知人にこの映画をオススメするとしたら、

堀北さんはどうやってオススメしますか?

 

友人や知人にオススメするのは、ちょっと恥ずかしいです(笑)。

 

プログラム「キャスト・インタビュー」

 

本音かもしれないが、プロの発言とはおもえない。

 

 

松ケンとのキスシーン。

やけに滑舌のわるい松ケンは、過大評価されている役者だが、

その虚名のおかげで、堀北の唇に自分の唇を接触させる僥倖をえた。

まあ、それはともかく。

カメラのまえで堀北と口づけることは、職業人生を台無しにしかねない惨事だ。

鼻のさきに、究極の美少年がいるのだから。

なんという喜劇だろう!

堀北真希は完璧で、穴埋めするパーツをもとめておらず、

そこで目をつぶつているだけで、あたりを寄せつけない神通力をはなつ。

 

 

 

 

なるほど、お説はよくわかりました。

ただ先生は以前、松山ケンイチさんのお芝居を、

かなり褒めていた様に記憶するのですが…。

 

あそこのスタバでコーヒーでも飲もうか、ルーク。

花見の計画も立てたいしね。

 

 

…はい。

でも、なんだかんだいつて楽しめた映画でしたし、

誘つていただきありがとうございました。

 

当然さ、英国紳士としてはね。





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