『ハート・ロッカー』

 

 

ハート・ロッカー

The Hurt Locker

 

出演:ジェレミー・レナー アンソニー・マッキー ブライアン・ジェラティ

監督:キャスリン・ビグロー

制作:アメリカ 二〇〇九年

[ユナイテッド・シネマとしまえんで鑑賞]

 

 

 

銃をうたないのに、固唾をのむ戦争映画。

イラク侵攻における米軍の戦死・負傷・行方不明のうち、

七五パーセントが即席爆弾によるらしい。

ガスボンベ、地雷、迫撃弾、榴弾など、

とにかく爆発するものならなんでも、

そこに簡易な起爆装置をつければ一丁あがり。

 

 

こんな具合に。

百五十五ミリ榴弾を三個つなげるだけで、戦車をひつくりかえす威力がある。

それでも放置するわけにゆかず、陸軍兵の出番となる。

市民の協力は期待できない。

米兵が吹き飛ぶ姿を撮影し、YouTubeにアップロードする輩までいる。

携帯電話をつかう人間をみたら射殺する。

遠隔操作かもしれないから。

泣いて助けをもとめるアイツは、自爆攻撃をしかけるつもりでは?

あの子どもの死体のなかに、爆弾がしかけられてないか?

地獄とはなにかを、おしえてくれる作品だ。

 

 

 

 

 

沙漠の炎気のなか、ケプラー繊維とセラミックプレートで身をまもる。

車両の装甲をくだく爆風のまえでは、気休めにしかならないが。

解体作業は、経験豊富な下士官がひとりでおこなう。

しくじつても損耗は最小限、つまり死者一名にとどまる。

アメリカの覇権は、経済や科学の力が支えているのだろうが、

最後はだれかが、ブーツで敵地を踏みしめねばならない。

投石されようが、狙撃されようが、爆破されようが、

そこに旗をたてる人間がいてはじめて、戦争はおわる。

 

 

バグダッドの日常の風景。

狂気を勇気とよびかえ、兵士は任務に従事する。

 

 

 

主役の陸軍二等軍曹のジェレミー・レナーは、

派遣期間をおえ、五体満足で家族のもとにかえつた。

イラクでの武勇伝をかたるが、妻は耳をかさない。

夫が粉々になりかけた話をよろこぶ女が、どこにいるだろう。

スーパーに出かけたレナーは、「シリアルを買つてきて」と命じられる。

 

 

無数のシリアルがならぶ棚。

 

 

ただ呆然とする二等軍曹。

爆発物こそないが、本当に狂つているのは母国ではないかと疑う。

地に足をつけて生きるのは、むつかしい。







以上の拙文を書くにあたり、プログラムの田中昭成氏による記事、

「『ハート・ロッカー』にちりばめられたイラク侵攻の問題点」を参考にしました。


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