『BANDAGE』

 

BANDAGE

 

出演:赤西仁 北乃きい 伊藤歩

監督:小林武史

制作:日本 平成二十二年

[新宿ピカデリーで鑑賞]

 

 

 

株式会社ジャニーズ事務所にやとわれた男どもに対しては、

50%の敵意と、50%の無関心をもつて接している。

要するにただの嫉妬だが、ローラースケートにのつたゴロツキに、

同級生が熱をあげるのに舌打ちした幼少期以来の習慣だから、

これでも年季がはいつている。

体育会系の厚かましさと、ホストクラブ的な媚びがいりまじる、

ジャニーズ文化のすべてが嫌いだ。

理由はない。

かんがえる必要もない。

ボクの人生そのものが、ジャニタレとの戦いなのだ。

七つの海を支配する、アメリカの軍事力に挑戦しつづける、

アル・カーイダの精神に近いといえる。

本作ではジ社所属タレントが、粗暴なロックミュージシャンに扮する。

セックス、ドラッグ、ロックンロール。

しかし、肝心の歌が例の猫なで声なので、すべてブチコワシだ。

 

 

 

ヨコスカの暴れん坊・北乃きいの役は、

まづは高校生の一観客としてバンドにちかづき、

ジ社所属タレントと惚れた腫れたの騒ぎをおこし、

いつしかマネージャーとしてバンドの管理をまかされ、

その後ひとり立ちして、別の女の歌手を発掘するというもの。

企画の段階では、ロックにささげる青春の光と影が、

本作の主題だつたはずだが、スタッフロールがながれる頃には、

若きマネージャーの成り上り物語に豹変した。

脚本になにが書いてあろうと、最終的に「北乃きいの映画」にする。

あいかわらず理不尽な仕事ぶりだ。

 

 

めづらしくラブシーンもある。

彼女は骨太で恰幅がよく、抱き心地が悪そうという印象しかもてない。

もうすぐ十九歳なのに色気が皆無なのは心配だが、

北乃きいは北乃きいなのだから、しかたない。

どこにも所属しない個性。

 

 

 

夜ふけに、ギタリストの高良健吾が機材をいじりながら、

ノイズのかなたに荒涼たる風景を描きだすさまが痛切だ。

しかし、小林武史にしか撮れない場面ではあるけれど、

音楽で胸のうちを表現したいなら、なぜわざわざ映画をつくるのだろう?

ちなみに本作は、昨年の北乃きい主演の『ハルフウェイ』につづき、

岩井俊二が製作と脚本をうけもつた。

彼は、あのうつくしすぎる失敗作『リリイ・シュシュのすべて』以来、

もう十年ちかく、まともに撮影の現場に立てていない。

多分カントクは、北乃きいで一本撮りたいのだ。

でもカネなどの事情がゆるさないので、

やむなく映画のシロウトにヨコスカの暴れん坊を託し、

イワイ色にそめたスクリーンでうろつく姿をみて、ニヤニヤする。

そこにあるのは、そこにいないはずの人間の個性。

岩井組の優等生・伊藤歩が、いつもの様に奇麗なのはうれしいが、

それでもやはり、なんだか悲しくなる。


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