反骨精神 ― JFL 後期第5節 町田ゼルビア 対 MIOびわこ

 

JFL 後期第5節 FC町田ゼルビア 対 MIOびわこ草津

 

結果:1-1 (0-0 1-1)

得点者

【町田】後半11分 山腰泰博

【びわこ】後半41分 谷口浩平

会場:町田市立陸上競技場

[現地観戦]

 

 

 

ボクのサッカー好きは家族に知れ渡つていて、

帰省すれば、父が話をむけてくる。

親子の会話つてやつかな?

しかしこの人、日本代表の試合をテレビでみただけで、

イッパシのサッカー通を気取るので、処置にこまる。

「岡崎つて、イイ選手だよな?」とかなんとか。

「ウーン、ヨクシラナイケド、マアソウカモネ」

みたいにとぼけて、その場をやりすごす。

仲むつまじい家族です。

 

 

 

小田急線、鶴川駅。

無料のシャトルバスにのつた。

 

(世界の車窓から)

 

タダより安いものはない。

どらおさん、やはり快適でしたよ!

入口の前には、出店がならんで壮観。

 

(ハーフタイムに)

 

晴れていたら、もつと賑わいそう。

なんでもゼルビアは、スタジアム周辺を「テーマパーク」にしたいのだとか。

Jリーグへの加盟条件を満たそうと、観客動員数を必死にかせぐ。

畏怖されてるのか、それとも軽侮されてるのか、

「JFLの門番」と称される武蔵野FCのモラトリアムとは、

ことなる空気が張りつめる。

 

 

 

戸塚哲也という男がいる。

四十八歳。

いまは町田ゼルビアの監督をつとめる。

三年つづけて地域リーグのクラブをJFLに昇格させ、

指導者としての能力も証明した。

かつて日本で一番うまい選手だつたのに、

四部リーグをウロチョロと。

名誉ある待遇とは到底いえない。

しかし当人は、それを気に病みはしなかつたろう。

現役だつたころの戸塚は、

「日本代表はレベルが低い。

読売クラブでサッカーをするほうが、よほどおもしろい」

といつて、召集をことわつたほどの硬骨漢だから。

(ちなみに彼は、昭和六十年のキリンカップで、

「日本代表」相手に得点し、勝利している!)

パスをつないで、ゴールを決める。

敵には点を取らせない。

つまり、よいサッカーをして勝つ。

ただそれだけにしか、興味をもてない人なのだろう。

 

 

 

戸塚の兵隊は、ものすごいサッカーをした。

MIOびわこがボールをさわれない。

防御線が微塵切りにされ、ゴール前に投下される、

無数のクロスを懸命に掻きだすばかり。

むしろ後半11分まで、よく粘つた。

ゼルビアの技術は、抜群ではない。

安定感のある、左ききの指揮者である石堂和人や、

果敢にドリブルをしかける蒲原達也が目についたくらい。

スタンドも燃える。

相手の不用意なパスをとめて反撃に転ずると、

一斉に叫び声が、町田の森にこだまする。

明瞭な目標があつてこそ、人々は連帯できる。

その見込みが、うすくても。

 

 

 

終了間際の失点で、相討ちに。

せつかちなボクは、笛の音にあわせ席をたつた。

戸塚監督も敵将と握手をかわしてすぐ、

選手の労をねぎらいもせず、戦陣に背をむける。

笛が鳴れば、仕事はおしまい。

スタンドの手摺ごしに、気短かな四十八歳をながめた。

大きな垂れ目からは、感情をよみとれない。

足が動かないなら、せめて時間をかせげよ。

バカどもが。

そう思つてるはずだけど。

不満を表情に出すくらいなら、

次にすることを考えよう、みたいな心構えか。

それにしても、町田ゼルビア。

いま一番熱いクラブだ。


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苑田 謙

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