国を割つて ― 鳩山由紀夫と、その身辺

『夜討ち朝寝坊日記』から借用

 

 

 

戦中戦後のいつとき、権勢をうしなつた鳩山一郎をなぐさめた、

軽井沢の別荘地をおさめる。

幽冥たる、苔むす庭園。

広大な敷地は、いまは孫兄弟に属する。

境界線をひいて。

 

莫大な相続税を払って、兄貴と二人で親父の土地を分けたのですが、

最初、兄貴に線引きを任せたら湿地帯ばかりを私のほうに入れていた。

遊泳術に長けている人は油断も隙もないんだな(笑)。

それで私がやり直した。

 

『文藝春秋』平成二十一年八月号 「鳩山邦夫 大いに吼える」

インタビュア:佐野眞一

 

どこか象徴的だ。

兄は民主党、弟は自由民主党。

国土を、ふたつに割るかのように。

 

 

 

人前でアニキの人格を腐す六十歳ほど、見苦しいものはない。

死ぬまで兄弟ゲンカ。

クリスマスや正月に、祖父の妾と、その子が出入りするような、

「音羽御殿」でそだつたので、肉親への感情が屈折したのかな。

 

兄は努力家です。

しかし信念の人ではまったくないと思います。

自分の出世欲を満たすためには

信念など簡単に犠牲にできる人です。

この点は兄に対して非常に辛口にならざるを得ない。

いまは虚像が前面に出すぎていますよ。

実像はしたたかを絵に描いたような人で、

自分のためになるのなら、

どんな我慢もできるんですよ、あの人は。

 

同記事から引用

 

邦夫の経歴をおほまかに追うと、

「新自由クラブ→自民党→無所属→改革の会→自由改革連合→

新進党→旧民主党→離党し都知事選に立候補→自民党に復党」。

政治家の「信念」を語るのに最適の人物ではないが、

それでも公私にわたり、兄を観察しつづけて六十年。

評価は折り紙つきだ。

つまり、血族にまで「宇宙人」呼ばわりされる鳩山由紀夫は、

風評どおりの奇人にちがいない。

で、それが最大の要因なのさ。

軽挙妄動をつつしみ、政界の大波小波をじつと耐え、

偉大な祖父でさえ経験しなかつた、気運を手につかむ。

 

 

 

麻生太郎が「解散」(実質的には任期満了)と、

つづく衆院選の日程をあきらかにした翌日に、

民主党がひらいた役員会でのお話。

新代表・鳩山由紀夫は、「暑い夏で大変だが頑張ってほしい」とのべる。

もうすこし気の利くセリフはないのか、

と脱力させられるが、宇宙人だから已むを得ない。

一方、降格の憂き目にあつたばかりの、前代表・小沢一郎の弁。

 

小沢氏は14日の役員会で

「マイクでがなり立てることができないお盆休みの期間もある。

実際は選挙までそう時間はない」と引き締めを図った。

 

『Web東奥』

 

ブアイソにもほどがあるのでは。

都議選で圧勝をおさめた二日後だよ?

お盆がどうとか、神経質すぎやしないか。

その立ち居振る舞いは、ひたすら「参謀」然としており、

「大将」にふさわしい気質ではない。

いまや総理の座への未練など、霞のごとく消え失せ、

三百の選挙区の分析に淫する。

ある種のビョーキだ。

近年のプチ流行語、「国策捜査」の影響による玉突きで、

鉄壁の布陣が完成したのは、政治史の皮肉か。

運命?

それとも、まつりごとの森に、だれかが巧妙な筋道を引いたのか?

鳩山邦夫なら、「それはアニキの仕業だ」とうつたえるだろう。

 






小沢一郎に関する拙文は、以下を参照のこと。

 

「小沢一郎、ホンモノの言葉」


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