逃亡 ― 『ターミネーター4』

 

ターミネーター4

Terminator Salvation

 

出演:クリスチャン・ベイル サム・ワーシントン アントン・イェルチン

監督:マックG

制作:アメリカ 二〇〇九年

[新宿ピカデリーで鑑賞]

 

 

 

ウタダの元ダンナでも作れそうな映画。

核戦争ののち、四方八方荒野と化した西海岸が、

ヤスリをかけたような手ざわりの、すすけた映像に焼きつく。

機械軍の攻撃により絶滅寸前となつた、

人類の絶望感がつたわるが、あまり単調なので飽きる。

色調をコンピュータでいじりすぎ。

いや実際は、ふるいフィルムを日光にさらすなど、

アナログ技術を応用したらしいけど。

CGの実験場みたいな『T2』が公開されたのは、一九九一年。

作品世界より六年はやく、映画界が「マシーン」に支配される。

元ボディビルダーが出演していない本作は特に、キカイ臭フンプン。

肉体の説得力がたりない。

そのうえ、作品世界の時間が循環するのは五周目で、

イチイチ矛盾を指摘するのが無意味なほど、因果関係が破綻。

繰りかえし再生し、色あせたビデオテープのよう。

 

 

 

クリスチャン・ベイルの、カービン銃の構えが格好よい。

マシーンへの憎しみに、こころを煮えたぎらせつつも、

肩で銃床をガッチリと固定している。

ひえびえとした、兵士の本能。

こういうのをもつと見たい。

はじめベイル兄さんは、半機械の役をふられたそうだが、

抵抗軍をひきいて戦うことをえらぶ。

特殊メイクやCGで、ゴチャゴチャ弄ばれたくなかつたのだろう。

だから某知事とはちがう意味で、説得力がある。

兄貴のためなら、抵抗軍に馳せ参じてもよい。

ウソです。

ところで今年の二月、ベイル兄さんが本作の撮影現場で、

裏方を口汚くののしる様子をおさめた音声が、

何者かによつてウェブ上に流出した。

下品なもので聞く価値はないけれど、一応リンクを貼つておきます。

撮影監督が本番中にセットをうろついたから、キレたとかなんとか。

 

ただ、このクリスチャン・ベールの

切れた声を聞いたファンや評論家からは、

「ベールの役者バカぶりが窺える」として

賞賛する声も少なからず出ている。

 

『ウィキペディア』

「クリスチャン・ベール」のページ

 

いかにもヤラセくさい。

スカイネット、ではなくインターネット時代ならではの、

映画会社の姑息な宣伝手法におもえる。

まあボクが穿ちすぎかもしれないし、いづれにせよ、

いまの時代に有名人であるのは、苦労がたえないことだ。

 

 

 

姑息な宣伝といえば。

映画屋たちは、本作は不評だつた『T3』とは無関係で、

偉大なるジェイムズ・キャメロン監督の流儀にかえりました、

と事あるたびに強調しているらしい。

大ウソだ!

『T4』こそが、配役も、時代設定も、筋書きも一新した、

あきらかな異色作なのに。

なぜ彼らはそこまで、前作を忌避するのか。

ロサンゼルスを粉砕するクレーン車の迫力。

墓地が舞台の、象徴主義的な銃撃戦。

老骨にムチ打つシュワルツェネッガーの奮闘ぶりも、感動をよぶ。

なんだかんだ言いつつ、『T3』で初登場した、

「ケイト・ブリュースター」は本作でも活躍。

 

 

手前のマシーンではないですよ。

変わりはてたケイトに、ボクは涙した。

 

 

こちらが本物の「ケイト・ブリュースター」です。

薄紫のTシャツに、黒のパンツ。

野暮つたいジャケットもあわせて、

映画の女主人公としての許容範囲をこえた地味さ。

それでも、クレア・デインズは最高にかわいかつた。

なるほど、理解できたよ。

『T4』が、「ターミネーター」の名をかぶせた別物になつたのは、

第三作がすばらしすぎて、比較されたくなかつたからだと。

 

 

 

ちなみに、『T3』の監督であるジョナサン・モストウの新作、

「Surrogates」の予告編はコチラから。

これがまた、おもしろそうなんだな!


関連記事

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
06 | 2022/07 | 08
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
月別アーカイヴ
04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03