今井神『マガイモノ』
マガイモノ
作者:今井神
掲載誌:『ヤングマガジンサード』(講談社)2019年-
単行本:ヤンマガKC
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物陰から探偵の真似事をするポニーテールの娘が、主人公の「磯木雪」。
オカルト趣味に没頭している大学生で、
UMAとかUFOとかパワースポットといったたぐいを日々調査する。
いまは、最近学内に現れたミステリアスな生徒「フォーネ」を、
宇宙人ではないかと疑い、ひそかに監視している。
雪の直感は正しかった。
フォーネを尾行するうち、世界の見えないところで、
陰謀が進行していたのを目撃することになる。
「マガイモノ」と呼ばれる、奇怪な存在を利用しようとする勢力と、
それを阻止しようとする勢力が争っていた。
フォーネは、マガイモノを退治する側に属していた。
そして、人間ではなかった。
今井神は、ド派手なアクション描写で知られる作家で、
2009年には代表作『NEEDLES』がアニメ化されている。
本作も、これまでの作風の延長線上に位置すると思われるが、
アクションの合間の静的なカットがむしろ印象深い。
雪がオカルトにのめり込んだのは、幼い頃に霊能者に救われたから。
いまも体内にマガイモノが侵入しており、それゆえ魔力を備えていた。
そういった特性を活かしたエロス表現がてんこ盛りである。
オカルト、アクション、エロス。
繊細さや緻密さより、勢いとサービス精神。
この作風を好むかどうかは人によりけりだろうが、
ポニーテールのヒロインには普遍的な魅力を感じる。
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