杉浦次郎『僕の妻には感情がない』
僕の妻には感情がない
作者:杉浦次郎
掲載誌:『コミックフラッパー』(KADOKAWA)2019年-
単行本:MFコミックス フラッパーシリーズ
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サラリーマンの青年と、家事ロボットの生活を描く物語である。
割烹着の「ミーナ」は、ちょっとした会話を交わせる知能をもつが、
中古で購入した安物だと作中で設定されている。
作品世界のテクノロジー水準でみても、かなり無表情なロボットらしい。
相手はかわいいけど、実質はローテクな機械なのが、本作の焦点だ。
ドキドキせずにいられない日常を送る一方で、
まるで炊飯器に恋する様なやましさを、主人公「タクマ」は感じている。
基本的に話は、タクマの住むオンボロアパートで繰り広げられる。
妹が下宿先に突撃してきたり、騒動がおきることも。
嫉妬したと思ったら、兄とミーナの関係性に萌えたり、
だれより変態性を露わにするこの妹のキャラもいい。
2話では、近所の自然公園へピクニックに出かける。
野外で調理するエネルギーを得るため、
ミーナは髪をおろして太陽光発電をおこなう。
作者のキャリアをながめると、特にSFに注力してない様だが、
女の子の描写とギミックをうまく絡めてるのが印象的だ。
あえてポリコレ的な観点から付け加えるなら、
本作は「女をモノ扱いしている」という解釈もできるだろう。
その認識を前提に言うと、作者は1LDK的なミニマリズムの中で、
単純ではないエロティシズムを最大限炸裂させるのに成功している。
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