山田J太/平鳥コウ『JKハルは異世界で娼婦になった』
JKハルは異世界で娼婦になった
作画:山田J太
原作:平鳥コウ
配信サイト:『まんが王国』(ビーグリー)2019年-
単行本:バンチコミックス(新潮社)
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交通事故に遭った女子高生の「小山ハル」は、異世界に転生した。
右も左もわからない場所で食べていくために娼婦になった。
中世的なこちらの世界では、女たちは軽んじられている。
行為の最中に暴力を振るわれるなど日常茶飯事。
ハルはひたすら耐えるしかない。
生命を脅かされるほどであれば、機転を利かせて主導権を握る。
客の性的能力を讃え、感じてるフリをし、危なげなくことを済ませる。
ひと仕事終えたあと、涼しい顔で一階の酒場へもどる。
首を絞められた跡はチョーカーで隠した。
理不尽な状況で、尊厳を踏み躙られる日々を送りながらも、
たくましく生きるヒロインを魅力的に描写している。
男主人公が無双する異世界転生ものへのアンチテーゼと解釈できるが、
ちょいと薬を塗るだけで避妊できるなど都合の良い世界設定であり、
「性」に真剣に向かい合ってない点は指摘しないといけないだろう。
動き、表情、衣装。
とにかく主人公のハルがイキイキしている。
僕は女子高生が出てくる漫画をたくさん読んでいるが、
これほど惹きつけられるヒロインは久しぶりに出会った。
娼婦仲間3人でダベるシーンもうつくしい。
山田J太は20年近いキャリアがあるが、入念な背景描写などを見ると、
本作に相当入れ込んでるらしいのが伝わる。
モブキャラとかでも手抜きがない。
いささかドぎついテーマを扱っているけれども、
もしあなたが異世界を感じたいなら、本作を強く推薦したい。
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