あfろ『mono』
mono
作者:あfろ
掲載誌:『まんがタイムきららミラク』『まんがタイムきららキャラット』2017年-
単行本:まんがタイムKRコミックス
写真部の女子高生をえがく4コマ漫画である。
先輩が颯爽と撮影する姿を、主人公「さつき」が撮影し、
そのさつきを親友の「アン」が撮影するのが、おもな活動だった。
ところが先輩が卒業したので、部は休止状態に。
アニメ化された『ゆるキャン△』がヒットし、一躍人気作家となったあfろだが、
持ち味である、シュールでひねくれた作風は健在の様だ。
作者の趣味をネタにする点は『ゆるキャン』と共通だが、
さつきがあやつるのは、スマホと連動させたパノラマカメラ。
一眼レフのレンズがどうとか、いかにもカメラマニア的な話題は皆無。
アンが購入したのはアクションカム。
猫の頭にマウントして町内を撮影する。
ゆるキャラにもみえる。
7話から一同は、山梨県にある『ゆるキャン』のロケ地をめぐる。
自作の「聖地巡礼」をえがくなんて前代未聞だ。
作品という概念が、読者の脳内で溶解する。
12話からは唐突なフードファイト。
小柄な「敷島さん」が意外な活躍をみせる。
尖ったセンスと、ハズシのテクニックで勝負する作家だが、
「かわいい女の子の日常」という、きららのお約束はきっちり守る。
カメラは女子の趣味としてポピュラーだし、それを題材とする漫画は多数ある。
ただ本作は、カメラを「青春の一コマを切り取る象徴」として扱わない点で独特。
単なる小道具として、ふかい意味を背負わずに存在する。
それゆえ、なにかが胸に直接せまってくる。
緑がかった空の色とか、本当にうつくしい。
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