『殲滅のシンデレラ』 第9章「オーディション」


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 アヤとイオリはタクシーをひろい、南へ二十分ほど走る。伏見区にあるコンベンション施設の「京都パルスプラザ」にきた。入場無料のイベントが催されており、建物の外まで音楽が響いている。

 ソリストによる三か所同時の攻撃から、三十分以上経過した。ツイッターなどのSNSで、異常事態の発生はすぐさま拡散され、テレビ局などもそれに追随する。しかし、報道の内容はあやふやで混乱している。すでに開始したイベントを、あわてて中止するほどの騒ぎでは、まだない。

 開催されてるのは、ハリウッド映画の公開オーディションだ。川端康成の小説『古都』の映画化が予定されており、その主演女優がえらばれる。相手役を演じる人気俳優クリス・クロフォードも、審査員として参加している。

 大展示場の中へはいる。ステージで色とりどりの衣装を着た六人の少女が、アップテンポの音楽にあわせて踊っている。腰のあたりで断ち切ってミニスカートにした、和服風の衣装だ。

 飛び上がってイオリが叫ぶ。

「わあ! 京娘セブンだよ!」

「有名なの?」

「ご当地アイドルとはいえ、人気は全国区だね。東京に来てくれないから、ボクも生でみるのは初めて」

「セブンなのに六人だけど」

「ほんとだ。リーダーの花澤カオリちゃんがいない。体調悪いのかな」

「水瀬くんってアイドルオタクなんだ」

「そうだよ」

 イオリはあっけらかんと肯定し、続ける。

「ボクは、かわいい女の子をみると幸せな気分になるんだ。この気持ち、女の子でもわかるよね?」

「全然」

「冷めてるなあ。まあ佐倉さん自身が、とびきりかわいいもんね」

 アヤは足をはやめる。紅潮した顔をみられたくない。深呼吸してから言う。

「アイドルもいいけど、任務を忘れないで」

「大丈夫。いまから控室へ潜入し、クリス・クロフォードさんの携帯電話を盗む」

「そう。ワイズ大統領の親友だから」

「それで電話をかけ、ボクが念動術をつかってワイズさんの居場所をつきとめる。楽勝だね」

「気を引きしめて。相手はセレブリティよ。武装したプロフェッショナルが護衛してるかも」

 イオリは唾をのみこむ。

 ワイズ大統領をのせたアメリカ空軍機、通称「エアフォース・ワン」は、けさ関西国際空港に到着した。その後、大統領は行方をくらます。羽多野は警察内部に情報源をもつが、手がかりはない。

 アメリカ政府は当然、大統領が外国を訪問するとき、現地政府に日程を通達する。ただ、わざと不正確な情報をつたえる。自前のアセットで警護するのが、彼らの方針だ。訪問の十日前にシークレットサービス捜査官を派遣し、徹底的に調査する。いまは京都市の各所に、制服を着た狙撃チームと反撃チームが展開する。敵がやってくるのを待つのでなく、積極的に敵性勢力をみつけて排除する。

 もう牧歌的だったケネディの時代ではない。シークレットサービスは、特別捜査官だけで三千四百名をかぞえる。十倍以上に増強された。大統領の暗殺は、より困難で危険な仕事となった。

 アヤとイオリはイベント会場の脇の廊下にでて、奥の扉へむかう。張り紙に「関係者受付」とある。

 首から名札をさげた、職員の男が呼びかける。

「どうかしましたか」

 アヤは歩く途中にみつけた、京都の観光案内のパンフレットを手にしている。

「すみません」アヤが言う。「私はオーディションに出場してる、沢城ユウキの妹です。姉が書類を忘れたので、すぐ届けないといけないんです」

 イオリが隣で目を丸くする。なんてデタラメな自己紹介なのだろう。

 職員が答える。「お姉さんの名前をもう一度教えてもらえるかな。渡してくるから」

「直接渡さないと姉に怒られます。さっきも電話ですごい剣幕で」

「関係者以外立入禁止なんだ」

「なら姉に聞いてみますね」

 アヤはアイフォンで通話するふりをする。

「あ、お姉ちゃん? アヤだけど。パルスプラザ来たよ。いま関係者受付。え? わかってるよ。でも男の人に止められて。あのさ、そんなに怒鳴らないでくれる。こっちだって、わざわざ学校抜け出して来たんだから。うるさいなあ。私もう帰るよ!?」

 職員はしかめ面をして、前後に手をふる。迷惑だから、さっさと通れという意味だ。

 アヤは会釈し、関門を突破する。




 立入禁止エリアを、アヤは早足で突っ切る。観光案内のパンフレットはゴミ箱へ投げ捨てる。

 職員がパンフレットを一瞥するだけで、アヤの嘘は判明した。だが堂々とした態度でいれば、そう疑われない。特に身だしなみのよい女子高生は。

 有力な政治家の家系に生まれた子女は、自然に嘘のつき方をまなぶ。もしスキャンダルがおきたら、玄関の外に取材陣が待ちかまえ、子供にさえカメラやマイクをむける。咄嗟にその場をしのぐには、事前に作り話を用意しておかねばならない。鎧みたいに、内面を虚構で守らないといけない。

 そうやってアヤは十六歳になった。望んで得た技能ではないが、しばしば役に立つ。

 あたふたと後につづくイオリの方をむき、アヤが尋ねる。

「そういえば、水瀬くんのシャドウはなんなの」

「ピノキオ」

「へえ。憑依した理由は?」

「うーん」

 形のよい眉を寄せ、イオリが続ける。

「佐倉さんは、おなじ質問をされて平気?」

「ごめんなさい。不躾だった」

「謝らなくていいよ。気にしてないから」

 イオリは、立ち止まったアヤを追い抜く。横顔は涼しげで、普段とかわらない。とらえどころのない少年だ。

 廊下の先にあるドアから、ヒョウ柄のワンピースを着た金髪の女があらわれる。テレビに興味のないアヤでも見覚えがある。お笑いコンビ「アラジン」の片割れである、小倉由貴だ。イベントの司会をつとめるのは公表されてるので、驚きはない。

 小倉がこちらに近寄ってくる。

 アヤの動悸が速まる。

 関西弁のアクセントで小倉が尋ねる。

「あんたらオーディションの出場者か?」

 アヤが答える。「はい」

「もうリハーサルはじまってんで。さっさと着替えて準備しいや」

 小倉は有無を言わさず、ふたりを控室へ押しこむ。扉を閉め、あわただしく去ってゆく。

 内部は十畳ほどの広さで、鏡や化粧道具などがおかれた楽屋だ。鞄やペットボトルなどの私物も放置されている。ハンガーラックに派手な女物の衣装がかかる。

 アヤは人差指で頬を掻く。

 付近にクロフォードの部屋はありそうにない。ハリウッドスターにしてはセキュリティが甘い。おそらくVIP待遇で別のエリアにいる。

 切れ長の目を輝かせ、イオリが叫ぶ。

「佐倉さん、やったね!」

「いきなりなに」

「映画のオーディションだよ。すごいよ!」

「そんなのに出るわけないでしょ」

「えー、もったいない」

「あのねえ」

 ふとアヤは考えなおす。

 悪くないアイデアかもしれない。オーディションに出場すれば、審査員であるクロフォードに確実に接触できる。ジムの下野会長が言ったとおり、戦いでは即興性が重要なのだ。

 実はアヤは、自他ともに認めるマジメ人間である一方で、芸能界に憧れていた。特に歌が好きで、月に一度はひとりでカラオケにゆき、声がかれるまで歌う。ルックスも多少自信がある。口に出したことはないが、歌手になりたいという少女らしい願望があった。

 なにせシンデレラに憑依されてるのだ。根はミーハーだった。

 無表情を装い、アヤが言う。

「やっぱり、出てもいいかもね」

 イオリが大はしゃぎでハンガーラックへ駆け寄る。フリルたっぷりの、白いオフショルダーのドレスをえらぶ。

「これとか佐倉さんに似合いそう。清楚な感じで。いや、あえてセクシーなのもいいかな……あっ!」

「なに」

「カオリちゃんの衣装だ!」

 和服風の赤い衣装を手にとり、イオリは何度も飛び跳ねる。アイドルグループ「京娘セブン」のライブに、リーダーの花澤カオリが出なかったので、服がひとり分余っていた。

 イオリは白いドレスをアヤに手渡す。さらにアヤに密着し、猫なで声で言う。

「ボク、これ着てもいいかなあ」

「はぁ?」

「こういう可愛い服、一度着てみたかったんだ」

「アイドルのステージ衣装でしょ。怒られるよ」

「佐倉さんだけズルい」

 イオリの鼻息が荒い。表情がこわばっている。

 彼もまたソリストなのだ。内面にシャドウが棲みついている。外見は眉目秀麗でも、いやだからこそ、心は病んでいる。

 アヤが言う。「勝手にすれば」

「やったあ!」

 イオリはそそくさとワイシャツのボタンを外しはじめる。アヤは咳払いするが、イオリは同室の人間に気をつかう素振りはない。

「水瀬くん。私も着替えたいんだけど」

「どうぞ」

「あのね、一応こっちは女なの」

「知ってるよ」

「せめて後ろ向くとかしてくれる?」

「あ、ああ。ごめん。ウチは三人きょうだいで、姉と妹がいるから、つい」

 アヤは首を横にふる。こんな朴念仁を相手に、恋の芽生えをちょっとでも期待したのがバカらしい。

 ガチャッ。

 ノックなしにドアが開いた。

 司会の小倉が控室のなかを覗く。廊下では、完璧に化粧をほどこした女が十人くらい並んでいる。みなオーディション出場者だ。ほとんどが、すでにデビューしている女優やモデルなどだ。

 アヤは、ハンマーで殴られた様な衝撃をうける。

 モノがちがう。

 なんなんだ、あいつらの細さは。顔の小ささは。脚の長さは。おなじ人間とおもえない。

 あれと一緒にステージに立つなんて、絶対無理。

 出場者たちはアヤに見向きもしない。競争相手とみなしてない。全員の視線は奥に集中する。

 敵愾心をあらわにし、イオリを睨みつけている。

 小倉がイオリに言う。

「あんた、着替え終わったか。はよいくで」

 イオリが答える。「え?」

「本番まであと五分やねん。もう待たれへん」

「あの、ボクは、その……」

 出場者たちは失笑をもらす。男みたいなイオリの言葉遣いをあざけっている。実際に男なのだが。

 小倉がイオリの肩を叩き、尋ねる。

「なんや、あんた。ボクっ娘か」

「いえ、別に」

「うちはそういうの好きやで。キャラが立ってへんかったら、芸能界なんて夢のまた夢やわ」

「はあ」

「司会者やから公平じゃないとあかんけど、最初にあんた見たとき、めっちゃ可愛いとおもったなあ」

「あ、ありがとうございます」

「応援しとるで」

 戸惑うイオリの手を引き、小倉は控室から出る。すれちがいざまに、アヤに紙を渡す。

 小倉が尋ねる。「あんたマネージャーさん?」

「……ええ、まあ」

「書類にあれこれ記入しといてな。よろしく」




 なりゆきでオーディションに参加したイオリだが、その最中に、四階にあるクリス・クロフォードの楽屋へ呼び出された。ドアの前で、ふたりのボディーガードが監視の目を光らせていた。

 クロフォードの楽屋は、一階よりずっと上等だ。三人掛けのソファが向かい合わせでならび、テーブルにフルーツの盛り合わせが置かれる。大きなモニターに、オーディションの模様が映っている。

 ソファでクロフォードが長い脚を組み、メロンにかぶりついている。髪の色はブラウンで、緑がかった瞳が印象的だ。高校時代は有望なバスケットボール選手であり、身長は百九十センチ以上ある。

 クロフォードが身振りで着席をうながす。和服風の赤い衣装を着たイオリは、きょろきょろしつつ腰を下ろす。

「あの」イオリが尋ねる。「ボクはオーディションに出なくていいんでしょうか」

 モニターにむかい顎をしゃくり、クロフォードが低く渋い声で答える。

「あんなものは茶番だ。結果はすでに決まった。ヒロインを演じるのは君だ」

「うそ」

「最終的な決定権は、エグゼクティブ・プロデューサーの俺にある。だれも文句は言わせない」

「ボクは演技経験ないのに」

「俺は君とおなじ年齢で映画界にはいった。三十年のキャリアで、さまざまな役者と組んできた。才能は一目で見抜ける」

「こんなの信じられない」

「ようこそ、ハリウッドへ」

 クロフォードは、トレードマークである甘い笑顔を満面にうかべる。

 イオリは恍惚としている。全身が熱い。

 ボクがヒロイン? このボクが?

 イオリは性同一性障碍だった。

 ふたりの女きょうだいに挟まれて育ち、十六歳になった今も、幼い少女の様に華奢で可憐。周囲の人間も、自分自身も、イオリの性別が男であることに、微妙な違和感をいだいていた。

 家にひとりでいるとき、イオリはこっそり姉や妹の服を拝借した。異常なほどの幸福感にみたされた。それがバレて家族会議がひらかれたこともある。それでも女装癖はやまなかった。

 ピノキオが憑依したのも、これが理由だ。偽りの体をもって生まれた少年の、切実な変身願望。

 イオリは同性愛者ではない。

 昨年に放課後の教室で、友人だとおもっていた同級生の男子から、強引にキスされたことがある。

 ただただ驚いた。かなり不快だった。男を性愛の対象とかんがえるのは無理だった。

 ちょうど今みたいに。

 クロフォードがいつの間に、イオリの隣に座っている。イオリの細い脚を撫でる。

 イオリは大声を出すべきだった。しかし喉に異物が詰まったかの様で、口をきけない。

 長身のアクションスターの鍛えた肉体が、気弱なイオリを威圧する。クロフォードの表情に、性的昂奮はあらわれてない。常習犯なのだろう。

 クロフォードがイオリの唇を奪う。舌を挿しこむ。イオリの舌とからめる。唾液がまざりあう。

 薄れる意識のなかで、イオリはつぶやく。

 いったいボクはなにをしてるんだ。作戦行動中なのに。この人の携帯電話を盗んで工作するのが目的なのに。

 クロフォードは朦朧状態のイオリをひっくり返し、ソファに両手をつかせる。ミニスカートの下のショートパンツをおろす。未熟な果実みたいな尻があらわになる。

「なんてこった!」クロフォードが叫ぶ。「君は男だったのか!」

 イオリは突っ伏したまま赤面する。恥づかしさのあまり死にたい気分だ。それでも勇気をふりしぼり、振り返って捕食者を見上げる。

 クロフォードの緑がかった瞳は、まだギラギラ燃えている。昂奮は冷めてない。むしろ珍味を前にし、ますます食指をうごかしている。




 ドガーン!

 はげしい音をたて、楽屋のドアが吹き飛んだ。

 右足を突き出したアヤが、片足立ちしている。ガラスの靴を履いている。廊下でボディーガードが倒れてるのが見える。

 歯を剥き出しにした、鬼の形相だ。レイプなどという犯罪を、アヤは心底から憎悪している。

 クロフォードは何事もなかったかの様に、もとのソファに戻っている。いかにもアメリカ人らしいジェスチャーで、両手を広げてとぼける。

 どうした? なにか問題でも?

 洋画の一シーンさながらで、現実味がない。

 クロフォードがウィンクする。アヤの手許を指さして言う。

「君が噂の『ブラッディネイル』か」

 アヤが答える。「なに」

「ウォーレンがエアフォース・ワンで話していた。最強の特殊部隊を、たったひとりで壊滅させた少女がいると。血塗られた爪をもった」

 ウォーレンとは、ワイズ大統領のファーストネームだ。大統領専用機で一緒に来日したのだろう。

 アヤは、クロフォードの超然たる態度に舌を巻く。強姦の真っ最中に襲撃されても、取り乱さない。良くも悪くも、並大抵の人物ではない。ハリウッドの過当競争で、三十年勝ち続けただけのことはある。

 世界中の女を虜にするさわやかな笑顔で、クロフォードが続ける。

「ウォーレンがなにか悪巧みをしてるのは知ってる。でも俺は関係ない。ただの映画人だからね。ほしい情報があれば、いくらでも提供しよう」

「あなたの携帯電話を貸して」

「おやすい御用さ」

 アヤはアイフォンをうけとる。ワイズ大統領の番号を確認する。力なくソファにもたれるイオリに、アイフォンを放り投げる。念動術をつかうと居場所を特定できるらしい。

 アヤは思い惑う。

 問題は、このレイプ犯をどうすべきかだ。いまここで裁かねば、この先きっと罪を問われない男を。

 迷いながら一歩踏みだす。後ろからイオリに右手をつかまれる。

 首をふり、イオリが言う。

「だめだよ」

「こいつが憎くないの?」

「ボクのために復讐なんてしないで。こんな有名人を殺したら、ただじゃすまない。ファンの人たちも悲しむ」

「…………」

 逡巡するアヤは苦しげにうつむく。

 敢然とクロフォードが立ち上がる。フルーツが盛られたガラスのボウルをとり、アヤの側頭部へ打ちつける。

 寸前でアヤはボウルを受けとめる。右手に奪い、相手の顔面へ叩きこむ。ボウルが砕け散る。クロフォードは鼻と口から出血し、ソファで気絶する。

 バサバサバサッ!

 かつてドアが存在した空間に、グレーのスーツを着た黒人の女が立っていた。サイン色紙が足元に散らばっている。

 かすれ声で黒人の女がつぶやく。

「殺して。その悪魔を」

 アヤが尋ねる。「だれ?」

「私はクロフォードの秘書よ」

「秘書なのに味方しないわけ」

「数えきれないほどの女性が泣くのをみてきた。こいつが映画界でもつ権力に翻弄されて」

「そんな悪魔になぜ仕えてたの」

「言いたいことはわかるわ。たしかに私は卑怯者よ。でも……でも……」

 女は大粒の涙をながす。彼女も被害者なのかもしれない。まっすぐアヤを見つめて訴える。

 アヤは踵を返す。右手にのこったボウルの破片を握りしめる。

 だらしなく大の字になった男の首に、果実の香りただよう透明なナイフを突き立てる。

 頸動脈から鮮血がほとばしる。すぐにクロフォードは事切れた。

 アヤは両手を腰に添え、ふかく息を吐く。

 言いたいことがあるのを忘れていた。

 そもそも『古都』の映画化で、なぜあんたが出演するのか。原作小説に外国人なんていないのに。脚色しすぎだろう。

 日本文学なめんな。

 アヤの背中にしがみつき、イオリがつぶやく。

「佐倉さん、ありがとう」

「さっきは殺すのに反対してたのに」

「気持ちがうれしいんだ」

 アヤはやさしい微笑をうかべ、イオリのつややかな髪を撫でる。

「私のことはアヤでいいわ」

「ほんとに? じゃあボクはイオリで。できればイオリちゃんって呼んでほしいな」

「念のため聞くけど、それって冗談よね」

「本気だよ。この作戦中はずっと、女の子の服を着るって決めた」

「そんなだから狙われるんじゃない」

「また襲われても、守ってくれるでしょ。だってアヤちゃんはボクのナイトだから」

 イオリはますます狂おしげにすがりつく。

 アヤは苦笑いし、天井を見上げる。パンツがクロフォードに下ろされたままなのを、はやくイオリに気づいてほしいと願っていた。




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