長期的にみれば ― saxyun『ゆるめいつ』

 

ゆるめいつ

 

作者:saxyun(さっきゅん)

掲載誌:『月刊まんがくらぶ』(竹書房) 平成十七年十二月号~

 

 

 

アホ毛がキュートな予備校生、相田ゆるめの下宿生活をえがく四コマ漫画。

ボロアパートのほかの住人もみな浪人中だが、毎日宴会ばかりで、

ひとコマたりとも勉強しないのが、おそろしい。

上の引用では、ゆるめが学生時代を回想するが、

乗馬通学するほどの最果ての地から、上京したらしい。

過酷な自然を生きぬいた、たくましいヒロインだ。

 

 

正月に、隣室のサエさんと今年の抱負をかたる。

超現実的なオチが売りの漫画だが、

それでも登場人物は、つねに「現実」におびえている。

三コマ目の背景のスクリーントーンが、不安な世情をうつす。

 

 

衣装ケースの出し入れをしているところを、サエに見つかる。

かわゆい娘が、かわゆい格好をして、かわゆい振るまいをしても、

無批判でうけいれられる時代ではない。

 

 

 

 

一階の住人の、松吉。

飲み仲間四人の黒一点で、うらやましい境遇だが、

恋に発展しそうな可能性はゼロパーセント。

いま流行りの、「草食系男子」か。

バレンタインデーには、三人から現金をわたされ、

一月後に「二十七倍返し」をしろと、ねずみ講まがいの要求が。

女が恋愛に見返りをもとめるたびに、

男は異性に対し消極的になつてゆく。

 

 

子どものころ鬼ゴッコをしたことがないという、

さびしい松吉をあわれんで、公園であそんでやる。

うれしそうな松吉。

しかし、そんなささやかな幸福でさえ、国家権力は不当にうばいさる。

 

 

 

 

物価の変動が、ゆるめたちの生活をゆさぶる。

慎重な投資戦略をえらんだのは、決してまちがいではないが、

資産を防衛するまえに、自分たちの体力がもたなかつた。

そういえばジョン・メイナード・ケインズは、

「長期的にみれば、我々はみな死ぬ」と言つていたな。

 

 

われらが松吉のアルバイトは、とあるイベントの手伝い。

人食い人種の生け贄になりかける。

みづからの身を肉食動物にさらしながら、

草食系男子は、生存競争で勝ち残らねばならない。

 

 

 

たつぷり引用させてもらつたが、

最強キャラの田中くみについては触れずじまい。

つぎの機会に、ということで。




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(2007/07/06)
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