板倉梓『きらきらビームプロダクション』
きらきらビームプロダクション
作者:板倉梓
掲載誌:『月刊まんがライフオリジナル』(竹書房)2015年-
単行本:バンブーコミックス
「きらきらビームプロダクション」は芸能事務所の名前で、
3人組のアイドルグループ「からぁ~ず☆」が所属する。
美人で長身で巨乳の「星ひかり」が社長をつとめる。
さまざまなジャンルを手がけてきた板倉梓の新作は、
コロコロ可憐な絵柄をいかしたアイドルもの。
リーダーの「大月あかね」が一番かわいいかな。
黒髪ショートの元気者だが、体型までボーイッシュなのが悩み。
ファンにチェキ帳を見せてもらったら、自分の顔がコピペしたみたいに同じとか、
地下アイドルあるあるネタで笑わせたり。
殺し屋のアクションものから、5歳の双子のファミリーものまで。
良く言えば万能選手、悪く言えば器用貧乏なあずにゃん先生らしく、
未経験のジャンルをさらっとソツなくこなしている。
マネージャーは26歳の「宝田麻人」。
地味だが誠実な人柄で、褒めるときは全力で褒め、
可愛いと言われ慣れてるアイドルさえ赤面させる。
海辺での泊まりの仕事。
3人組が眠ったころ、社長と部下がサシで飲みはじめる。
なんだかいい雰囲気に。
ピチピチした16歳が飛んだり跳ねたりするのと並行して、
しっとりしたオトナの恋をえがくのが板倉流。
宝田は、ネットでたまたま10年前のアイドルグループをしらべてたとき、
そのなかのひとりが今の社長であると気づく。
当時の純情さは欠片もないが、顔立ちとホクロの位置が一致。
サブプロットを絡めつつ、じわじわ盛り上げる語り口はあいかわらず。
どうも板倉梓は「かわいい絵の漫画家」と認識されてる気がする。
事実なのだが、ちょっとあなどられてる。
シンプルで洗練されてるのに親しみやすい、稀有な絵柄がかえって災いしてか、
構図やストーリーテリングの才能が注目されない傾向がある。
もっとスポットライトがあたるべき作家だ。
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