中山敦支『うらたろう』1巻

 

 

うらたろう

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス

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中山敦支の2年ぶりの連載である『うらたろう』は、失敗作かもしれない。

やけに重苦しく、ファンにとって歯痒い作品だ。

 

原因は、主人公の「温羅太郎」が無気力すぎること。

不死身であるがゆえ死をのぞみ、目的らしい目的をもたない。

『ねじまきカギュー』のあと表現衝動が枯渇した作者の自画像なのは明白。

だから読んでてつらい。

 

 

 

 

ヒロインの「ちよ」は対照的な性格。

斃したばかりの妖怪の肉に舌鼓をうつなど、おのれの欲望に忠実。

 

 

 

 

おおらかで、天真爛漫で、かわいらしい。

人生のすべてを味わい尽くそうと、貪欲に生きている。

 

 

 

 

ちよは呪いのせいで余命一年しかない。

いつものナカヤマ節である。

生を肯定しようが否定しようが、いづれにせよ平等に死はおとづれる。

死こそがすべてだ。

 

 

 

 

中山の作風は異常なほど健全。

セックスを描くことに関心がない。

僕が読んだ範囲内では、男女のキスシーンすらない薬の口移しならある)

 

けれども本作は、独自の死生観をふまえたうえで女性の肉体美をえがくなど、

プレーエリアを広げようとしているのがつたわる。

 

 

 

 

『うらたろう』がおもしろいかどうかと言えば、おもしろい。

中山がつまらない漫画を描くわけがない。

才能のカタマリみたいな男で、ごく初期からすぐれた作品しか発表してない。

 

しかしファンは複雑な気分になる。

この人はなぜこんなに正直なんだろうと。

代表作を描き終え、刀折れ矢尽き、ひきかえに多少の蓄えを得て、

そして寿命へむかって徐々に朽ち果ててゆく自分自身を、

なにもここまで戯画的にかつリアルに表現しなくてもいいじゃないかと。





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 
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