鬼八頭かかし『たとえ灰になっても』

 

 

たとえ灰になっても

 

作者:鬼八頭かかし

掲載誌:『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)2016年-

単行本:ガンガンコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

自称天使の「クロエル」が、端正な顔を快楽にゆがめる。

ぷりぷりのお尻が丸見えの衣装を着て。

カネに困った人間を辺獄にあつめて開催する、命懸けのゲェムのホストだ。

 

 

 

 

主人公は「四宮良真(しのみや りょうま)」、男子高校生である。

妹が余命一か月の難病で、裏ルートでの臓器移植手術に10億円かかる。

自分の命を捨ててでも助けたい。

これだけ可愛いのだから。

 

 

 

 

辺獄での外見は現世と異なり、実際の性別や年齢がわからない。

本名を知られたら死ぬため、みな身分を偽る。

「うさ耳ぴょん子ちゃん」を名乗った少女は、

キャラをつくりすぎて恥づかしくなり、結局「山田」にしたり。

ただし、スベったのも演技かもしれない。

 

 

 

 

ゲェムがはじまる。

おなじガンガン系の『賭ケグルイ』もそうだが、この手の漫画を紹介するとき、

独自に考案されたルールを簡潔につたえるのが難しい。

あまり本質に触れすぎるとネタバレになるし。

「丁半博打」と「ダウト」をくみあわせた、個性的なゲェムとだけ言っておく。

 

クロエルがラウンドガールっぽくポーズをきめるなど、見せ方も工夫している。

 

 

 

 

上でぜえはあ言ってる娘が、利き手の左手に包帯を巻いてるのは、

5000万円の代償に、クロエルに1本1000万円で指をもがれたから。

女の子が傷めつけられる姿が好きな御仁に対し、期待に応える作品だ。

 

 

 

 

指をもがれた「めがね子」は新婚ほやほやだった。

やさしい夫とケーキ屋を始めたばかりなのに、借金を残して夫は消えた。

2500万円を手に入れれば、男は戻ってくると信じている。

 

陰惨な拷問のあとに挟みこまれる、甘い生活の記憶。

複雑な味に誘われ、感情移入せずにいられない。

 

 

 

 

記憶はうつくしいとかぎらない。

たとえば主人公の妹がうけた常軌を逸したイジメとか。

いわゆる鬱展開だが、女の子をかわいく見せるので許せる。

 

鬼八頭かかしは、『バナナのナナ』がおもしろかった記憶があるけど、

こんなに巧い作家だったっけと驚いた。

軽めの作風をかなぐり捨て、賭けに出たのだろう。

 

 

 

 

10年のキャリアがあるのに、後進を引き合いに出すのは失礼と承知しているが、

おそらく作家自身も覚悟してるはずなので、あえて『賭ケグルイ』と比較する。

 

凌駕している点がふたつある。

『賭ケグルイ』は作画と原作が分業だが、こちらは統一感がある。

尚村透の絵柄はスタイリッシュだが、こちらはプニプニコロコロで可憐。

 

ひとことで言うなら、いろいろ背負ってる女の子たちが、壮絶にかわいい。





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