ばたこ『芸者さんの言うとおり』

 

 

芸者さんの言うとおり

 

作者:ばたこ

発行:実業之日本社 2016年

レーベル:リュエルコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

舞台は昭和3年の浅草。

主人公である23歳の「孝三」は、芸者置屋で箱屋としてはたらく。

芸者をアイドルにたとえるなら、置屋が芸能事務所で、箱屋がマネージャー。

戦前の芸者は、ブロマイドが人気を博すなど一種のスタアだった。

 

 

 

 

ヒロインは16歳の「小梅」。

まだ見習い中の半玉(はんぎょく)だ。

おてんばな性格で、花柳界では先輩だからと年上の孝三をからかう。

 

 

 

 

作者プロフィールに、着物と日本の古い建築が好きとある。

着付けや髪の結い方へのこだわりが並大抵じゃない。

小物のひとつひとつが芸者としてのキャリアをあらわすセミオロジー。

もしあなたが女の和装をたのしみたいなら、確信もって推薦できる作品だ。

 

 

 

 

売れっ妓の「梅乃姐さん」が、旦那の相手をするところに出くわす。

春をひさぐのが芸者の仕事ではないが、決して無縁ではない。

自由恋愛を尊重する現代の観点からだと、共感しづらい面がある。

 

 

 

 

そう言った時代背景をある程度リアルにえがく一方で、

まだあどけなさの残る小梅の、ほのかで不器用な恋がテーマとなる。

 

 

 

 

小梅には子爵家の御曹司が旦那についていた。

芸者としてひとり立ちする「水揚げ」の日には、体を許さねばならない。

 

踊りが大好きな小梅は、芸者の仕事は気にいっている。

親の借金を背負っており、旦那がつくこと自体はよろこばしい。

むしろ周りから羨まれる立場だ。

でも、心はゆれる。

 

 

 

 

1巻完結である本作は、ストーリーに新味はあまりないが、

瑞々しい造形的魅力により読者の心をつかむ。

同時代的な、幼さを強調するキャラクターデザインと、

芸者の古風な出で立ちが、高い完成度で融合している。

かわいくて、うつくしい。





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苑田 健

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