中山敦支『ちよ』

 

 

ちよ

(『うらたろう』0話)

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2016年8月11日号

[同作者の過去記事はこちら

 

 

 

意識高い系の藝術家は「最新作が最高傑作」と言いたがる。

むろん、世の中そんなに甘くない。

最高傑作は、最高傑作だ。

中山敦支なら『ねじまきカギュー』だ。

 

ほかに漫画家あるあるとして、「代表作のあとに歴史物を手がける」を挙げたい。

江川達也の『日露戦争物語』とか、岩明均の『ヒストリエ』とか。

だって王様とか将軍とか描けば、偉くなった気がするもの。

懐が潤った作家は、つぎに自尊心を満たそうとする。

 

でもって、中山敦支の新連載の題材は、源平合戦。

あちゃー。

ナカヤマアツシ、おまえもか。

いや、だけど、どこかおかしい。

「平氏大勝利」って、なんだそりゃ。

怪物がいるし、それに浮世絵風のデザインがほどこされてるし。

 

 

 

 

平氏大勝利、六波羅京の六波羅時代、平氏が落ち延びる奥州平泉……。

いったいぜんたい、なにがなにやら。

 

僕は、自分でも痛々しいと思うほどのナカヤマ信者だが、

彼が2年も無為にすごしていることに、正直苛立っていた。

あれほどの才能でも涸れるのかとおもっていた。

杞憂だった。

ナカヤマは資料をあつめ、取材に出かけ、審美眼を鍛え上げていた。

すくなくとも、だれも見たことない世界を創造できるくらいの。

 

 

 

 

主人公は15歳の「平千代(たいらのちよ)」で、平家の姫君らしい。

おそらく、相方となる男性キャラが出るだろう。

どうしようもなくヘテロセクシャルなのが中山だから。

 

「翳」を感じない天真爛漫なヒロインは、『こまみたま』のサクヤ以来か。

中山作品は暗いので、女子はウジウジしてたりミステリアスだったりしがち。

西尾維新と組んだ読切『オフサイドを教えて』の経験が活きてるかもしれない。

独自解釈の「日本回帰」とゆう点も、『こまみたま』と共通。

「中山敦支の唯一の失敗作」の弔合戦とみなしてもよさげ。

 

 

 

 

僕には源氏物語は、異星人の著作におもえる一方で、

平家物語は感性にダイレクトにアピールする。

だから中山が、リスタートの題材に平家をえらんだのはうれしい。

 

本作が最高傑作だろうが、準最高傑作だろうが、失敗作だろうが、どうでもいい。

毎週ナカヤマ作品に触れることで、僕たちはいまここで生きてると実感できる。






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