江戸屋ぽち『こはねちゃんの犬』
こはねちゃんの犬
作者:江戸屋ぽち
掲載誌:『月刊サンデーGX』(小学館)2016年-
単行本:サンデーGXコミックス
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なんて凝った制服なのか。
服飾に関する語彙がすくない僕は、どう形容すべきか困惑するほど。
『魔法少女育成計画』のコミカライズ(KADOKAWA)で、
キラキラフワフワの衣装で紙面を埋め尽くした江戸屋ぽちが、
画風はそのままに小学館へ殴り込み(コミティア出張編集部がきっかけとのこと)。
イケメンの「白鳥圭吾」が、幼なじみの「立花こはね」との再会に凍りつくのは、
彼女に重傷を負わせた引け目があり、トラウマになってたから。
かよわい女に触れれば、一生モノの傷がのこる。
男は、責任を取らねばならない。
こはねは容赦なく圭吾に重圧をかける。
日本男児には、いざとゆうときの逃げ道がふたつある。
土下座と切腹だ。
圭吾の誠意は、こはねに通じない。
むしろ激情に火がつき、行為はますますエスカレート。
だって、こはねは圭吾を愛しているから。
焚き木が腿をつらぬき、大量の血が流れるときでさえ、欲情していた。
好きな男を完全に支配できる喜びで満たされていた。
たとえるなら、『失われた時を求めて』のヴァントゥイユ嬢の唾吐きみたいな、
性愛と暴力が分かちがたく結びつく、ゾクゾクする感覚が押し寄せる。
鍵空とみやき『ハッピーシュガーライフ』と共鳴する佳作だ。
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