藤本タツキ『ファイアパンチ』/ぬこー様『無常のふでこさん』

 

 

藤本タツキ『ファイアパンチ』(ジャンプコミックス/ためし読み)は、

文明の崩壊しつつある世界で暮らす「アダニ」と「ルナ」、兄妹の物語だ。

ある夜、ルナは兄に子供をつくらないかと持ちかける。

絶望的な人生に、希望をみいだすために。

 

 

 

 

しかし1話でルナは死ぬ。

軍の攻撃で黒焦げとなり、兄の目の前で息絶えた。

本作は復讐譚として幕を開ける。

 

 

 

 

そしてすぐ息切れする。

美貌を買われ拉致された少年「サン」の視点で話はすすむ。

あれ……復讐どうなった?

 

アマゾンレビューでも「2話以降はイマイチ」とゆう意見が多い。

性欲処理のためのペットとして少年と少女は監禁されるが、

やりとりがお笑い番組的な薄っぺらさで、読者を困惑させる。

たとえるなら品川ヒロシの映画みたいな?

作り手は狙ってやってるのだろうが、受け手が物語に求めるのはそれじゃない。

 

 

 

 

近代を舞台にした小説では、社会的制裁が家族の復讐にとってかわっている。

大半の人びとは、警察や司法が唯一の法の番人であることに、

異議をとなえたりはしない。

つまり、復讐というのはいささか時代錯誤の動機となっている。

 

ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』

 

近代的世界観のなかで、復讐を動機として提示するなら、

語り手は説得力をもたせるのに多大なリソースを消費する。

新人作家は手を出さないのが吉だろう。





 

 

 

 

ぬこー様『無常のふでこさん』(REXコミックス/ためし読み)は、

『繰繰れ! コックリさん』の「こひな」を髣髴させるおかっぱ幼女が、

正論を大上段に振りかざし、あるあるネタや時事ネタを斬る4コマ。

 

みのりフーズの岡田正男氏が、発言が炎上したうえに自宅まで炎上する。

絵柄が可愛いので、辛辣なオチも許せる感じ。

 

 

 

 

魔女宅やもののけ姫といった宮崎アニメも俎上に載せる。

でも叩かれるのはあくまで脇役、作品そのものへの批評ではない。

 

 

 

 

政治ネタもあるが、3コマめはあきらかにレイシズムで笑えない。

何かとお上になびく日本人に「風刺」は難しいのだから、やめときゃいいのに。

本作は、野々村議員や小保方さんやベッキーなどを袋叩きにして快感を得る、

「いじめエンターテインメント」(宇野常寛)を無上の喜びとする民族の自画像だ。





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 萌え4コマ 
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