鈴木マナツ『コネクト』

 

 

コネクト

 

作者:鈴木マナツ

掲載誌:『ウルトラジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス・ウルトラ

ためし読み/同作者の過去記事

 

 

 

『阿部くんの七日間戦線』以来3年ぶり、待望のオリジナル作品だ。

 

主人公は男子高校生の「一ノ瀬和奏(わかな)」。

音楽一家にうまれ、自分もアニソンの作曲家になるのが夢。

つまりオタクであり、学校では趣味をおおっぴらにできない。

 

 

 

 

ただ同級生に、プロの漫画家として活躍する「藤尾藤子」がいた。

自作の映像化に関心があり、ふさわしい音楽をさがしている。

 

 

 

 

藤子に口説かれる和奏。

たとえばHoneyWorksみたいに、若い才能があつまる様子をえがくのが、

この青春漫画『コネクト』のテーマだ。

 

藤子の髪のボリューム感は、『peeping analyze』の清衣をおもわせる。

 

 

 

 

それにしても本作は地味だ!

登場人物が椅子にすわって会話する場面ばかり。

これまでは『阿部くん』も『ズヴィズダー』も『peeping analyze』も、

ドッタンバッタンいそがしい物語だったから、意図的なのだろうけど。

 

藤子のうつくしい瞳に吸いこまれる。

鈴木マナツ作品は女子とゆう小宇宙により、世界観が無限に拡張される。

 

 

 

 

人気の歌い手の「小日向花音」からメールがとどく。

ニコ動へ投稿した曲を気にいったそうだ。

カフェで待ち合わせて会ってみたら、高校の後輩だった。

自分が歌い手と證明するため、花音は耳に口をよせて歌う。

 

インターネットを介しての「つながり」をえがくと思いきや、

主要人物はみな身近にいるため、現代性をじゅうぶん表現できてない。

でも以前書いた様に、鈴木の作風は反時代的要素をふくむから理解できる。

 

ギャルっぽいけど律儀、ビッチっぽいけど純情。

『阿部くん』の鳳撫子を髣髴させる花音のたたずまいに、マナツファンは小躍り。

 

 

 

 

椅子にすわっての「打ち合わせ」の場面が8回もあり、1巻は動きにとぼしい。

創作活動に付き物としても、読者がそんなところにリアリティをもとめるだろうか。

たとえば雨のなか相合傘しながらとか、自転車に二人乗りしながらとか、

プールや夏祭りの最中だって打ち合わせは可能だ。

 

主人公が受け身で、全体的にユルいのも気になるところ。

アニソンの作曲家になりたいとして、なれなかったらどうなのか伝わらない。

別にどうってことなさそう。

『阿部くん』ではミッション失敗は死を意味した。

リアルな青春ものでも、読者は「賭け金」の額がわからないとノレない。

 

 

 

 

不満をのべたのは、この作家が好きだから。

だれよりうつくしい絵を描くから。

風になびく髪と衣服、ニーハイがかるく食いこんだ太腿……。

一読者でさえ、この娘のためなら死んでもいいと思えるわけで、

主人公はもっとがんばるべき。






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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 鈴木マナツ 
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苑田 健

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