板倉梓『すいもあまいも』
すいもあまいも
作者:板倉梓
発行:マッグガーデン 2016年
レーベル:マッグガーデンコミックス EDENシリーズ
絵柄こそシンプルで愛らしいが、板倉梓は設定や演出に凝るタイプだから、
良くいえば王道、悪くいえば月並みなラブコメの本作は、キャリアのなかで異色。
出産経験が影響し、すこし丸くなったのかも。
ヒロインは高校3年の「天現寺じゅん」。
両親がアメリカにいる間、1年の主人公「米倉蓮司」の家に居候することに。
脱衣所での遭遇イベントなど、ベタな路線をたどる。
いかにも当て馬っぽい女の子が、オクテな主人公にからむ。
駄菓子屋で売ってるラムネの様な、昭和の味。
お得意のカッチリ決まった構図や、流麗なカメラワークはひかえめ。
言いかえると、カッコつけてない。
でも独特のリズムやモンタージュで見せる演出は、やはり映画的。
ギャル系の同級生に強引にさそわれ、服屋へ行く。
そこでのやりとりがたのしい。
ギャルズの言動は傍迷惑なのに、板倉絵で描かれると可愛くおもえる。
そして最終話の昂まり。
「板倉梓にハズレなし」の法則はいまだに有効。
1巻完結で小品だが、その分混じりけのない古典的ラブコメ。
職人藝をたのしみたい。
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