中山敦支『ゾンビマリア』

 

 

ゾンビマリア

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)No.26(通巻No.1778)

[中山敦支に関する記事はこちら

 

 

 

『ねじまきカギュー』終了後、連載をもってない中山敦支が、

昨年の西尾維新原作『オフサイドを教えて』につづき、読み切りを発表。

 

樹海行ったらこのマンガのことが頭に浮かんだので帰ってきて描きました。

 

巻末コメント

 

作者による森林の描写が個性的なのは、当ブログで再三指摘したので、

本作の舞台が樹海であることに我が意を得た。

 

 

 

 

ゾンビのマリアは骨が露出した手で、主人公の首吊り自殺を阻止。

死・暴力・森・あっけらかんとした女の子……。

ナカヤマ作品のシンボルがそろっている。

 

中山敦支は本来、変貌する作家だ。

作品ごとに、いや一作品の執筆中にさえ脱皮をくりかえす。

そのわりに本作のヴィジュアルは「後期カギュー」と大差ない。

成長が止まったのかもしれないし、描き続けないと変われないのかもしれない。

 

 

 

 

内面的にも、逆説を弄するナカヤマ節を踏襲。

NHK教育テレビ的な朗らかさで死を抱擁し、

自己と世界が存在することそのものへの理解を、広場的に共有する。

 

 

 

 

世界観は深みを増した。

中山が肯定する生と死は、人間の本質にそなわる暴力性と不可分。

その死は、殺し殺される存在として直面する死だ。

スタティックな諦念でなく、ダイナミックな焦燥が充溢している。

大地の裂け目を、冥々たる闇のなかで飛び越す感覚を、読者に味わわせる。

 

 

 

 

ラストシーンの主人公は、干からびて樹木の様になっている。

カギュー以降の作者の自画像と解釈できる。

 

『ねじまきカギュー』の成功は、表現者としての理想だった。

あえて俗な言い方をすれば中山は、ある種の文学/藝術性と、

サブカル的センスをたもちつつ、ポピュラリティを獲得した。

才能と努力の賜物だが、羨むべき幸運児だったのは否定できない。

 

カギューのあとに何を描いても、そううまくいかないだろう。

重いテーマを打ち出せば頭でっかちと言われ、

流行を取り入れればセンスが古いと言われ、

読者に媚びればカギューの方がよかったと言われるだろう。

あれほどの働き者が2年間沈黙している理由だ。

しかし中山敦支はすくなくとも、そんな自己を冷徹にみつめている。

 

編集部コメントによると、新作準備中とのこと。






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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 
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