仲谷鳰『やがて君になる』2巻

 

 

やがて君になる

 

作者:仲谷鳰

掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)2015年-

単行本:電撃コミックスNEXT

ためし読み/1巻の記事

 

 

 

七海先輩にキスをもとめられた侑が、まぶしげに目を細める。

侑にとって恋は、直視するには刺激がつよすぎて。

 

 

 

 

思春期女子の瑞々しさで、肉欲の生臭さを浄化した物語群が、百合漫画だ。

とはいえ百合が市民権を得るなかで、この図式は陳腐化しており、

2016年現在、「女の子同士だからピュア」とゆうトリックは通じない。

 

そんな時代精神に、『やが君』は「百合を否定する百合」として対峙する。

女の子同士だって、汚いものは汚い。

だからこそ惹かれる。

 

 

 

 

ふたりのキスは、おなじく生徒会の槙に目撃されていた。

あっけらかんとした態度で、どうゆう関係なのか問い質す。

 

 

 

 

3人の女きょうだいに囲まれて育った槇は、女心の観察者だった。

恋バナが最高の娯楽とおもっていた。

善悪のレベルをこえた、「劇場型犯罪としての百合」が上演される。

『攻殻機動隊』でたとえるなら「笑い男事件」みたいなもの。

 

 

 

 

カバー下の「生徒会室図解」。

ここまで綿密な設定をもとめられる漫画家は大変な稼業だが、

おそらく作者は舞台をかんがえるのが好きなのだろう。

 

 

 

 

缶乃:仲谷さんの漫画、ほんとに絵が上手いなって思うんですが、

これアシスタントは使われてます?

仲谷:いえ、一人で描いてます。

缶乃:背景も含めて、これ全部一人で描いてるんですか? すごい……。

(略)

仲谷:自分の仕事は全部自分でコントロールしたいって、

どうしても思ってしまって。

仕事で漫画を描いていくにはあまり良いことでは

ないんだろうと自覚してるんですけど。

 

『アキバBlog』での仲谷鳰と缶乃の対談

 

僕は1巻の記事で制服のデザインについて言及したが、

やはり仲谷鳰の武器は人物描写ではないとゆう印象を、本巻でもおぼえた。

描き分けが比較的うまくないし、キャラはどちらかと言えば無表情。

置き石づたいに川を渡る10話の名場面の様に、

舞台装置やカメラワークを駆使したドラマづくりで、観客の心をつかむ。

 

 

 

 

上掲の対談では、「空白恐怖症」的に背景を塗りこめる缶乃に対し、

余白をたくみに配して構図を練る仲谷、とゆう個性が明確にされた。

 

少女漫画的で主観的な心象風景と、三次元的で客観的なリアリズムの融合。

仲谷鳰は、百合漫画の枠組みにおさまらない、漫画表現のパイオニアだ。






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テーマ : 百合漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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