カヅホ『キルミーベイベー』
キルミーベイベー 第一巻
作者:カヅホ
発行:芳文社 平成二十一年
[まんがタイムKRコミックス]
里見英樹(よつばスタジオ)による、買う気にさせる装丁にだまされ、
ふらふらとレジにむかう。
「学校で人を殺してはいけません。」とか、帯のアオリも完璧。
帯をすてるにしのびなく、置き場所にこまる。
これは、「萌え四コマ」に分類される作品かな。
金髪ツインテールのソーニャ、黒髪のやすな。
キュートな女子高生ふたりの、ドタバタ学校生活をえがく。
異色なのは、ロシアむすめ(推定)のソーニャが、プロの殺し屋だってこと。
ひとが背後にたつと、反射的に攻撃するのはお約束。
そういや、映画『ニキータ』の主人公もスラブ系の名を称してたな。
荒唐無稽な設定も、ロシア人ならアリ。
なのかも。
ガラス瓶を、たやすく素手で切断するほどの戦闘力をもつソーニャだが、
動物とオバケが大の苦手。
恐れをしらないやすなに、散々もてあそばれる。
やすなは、おとなしそうな顔のわりに、
暴走気味のボケとツッコミで、殺し屋以上の破壊力。
右の四コマ目、壁にはりつくソーニャがかわいい。
絵柄は愛くるしいが、なかなかどうして活劇もいきがよい。
かぎられたコマのなかで、多彩なアクションをみせる。
授業中に何気なくはじまる、暗殺。
のはずなのだが、ギャグ漫画とはおそろしいもので、
おぞましい殺人が下ネタにひきずりおろされる。
教室は無法地帯に。
四コマ漫画の新趣向なんて、とっくに出つくしたとおもっていたが、
漫画家の想像力に限界はないらしい。
『キルミーベイベー』は、よっつのコマのなかで、
現実ばなれした殺陣と、美少女キャラの萌えを交配させ、
なれしたしんだ日常を転覆する過激作だ。
キルミーベイベー (1) (まんがタイムKRコミックス) (2009/01/27) カヅホ 商品詳細を見る |
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