ビーノ『女子高生の無駄づかい』
女子高生の無駄づかい
作者:ビーノ
掲載サイト:『ComicWalker』(KADOKAWA)2015年-
単行本:角川コミックス・エース
若さ以外に取り柄のない女子高生が、辛辣な言葉を交わしながら、
無目的に生きる様をえがくシュール系ギャグ漫画である。
ただハトポポコ『平成生まれ』ほどアクセル全開ではなく、
石原まこちん『THE3名様』にも共通する、前世紀的なレイドバック感も漂う。
この黒髪少女のあだ名は「ロボ」。
感情が死滅してるため、そう名づけられた。
お下げ髪の「ヲタ」は漫画家志望で、趣味はゲームとネット。
下校中、退屈そうにスマホをいじっていたら、
崇拝するボカロPの新曲が投稿されたと知って昂奮。
思いもよらないことに、その「低所得P」は彼女達のよく知る人物だった。
なおこのPは実在する、ってゆうか作者の組んでるユニット名である。
世相を活写するのが本作の執筆動機ではないと思うが、
現代文化のもつリアリティが感じられる。
ツインテの「ヤマイ」は、ボクっ娘のパーカー女子。
進路志望の書類に、科学史上もっとも中二病的な思考実験である、
「シュレーディンガーの猫」をもじった回答を記す。
食堂に行こうと誘われたのに、外でぼっち飯。
ツイッターで「僕は群れない」とつぶやく。
半ベソかきながら。
初音ミクの歌声が似合いそうなせつなさだ。
自分の居場所がある種の底辺なのを認識しながら、
他者に無関心なフリをして、本当は絆をもとめる。
それはそれでひとつの幸福で、ひょっとしたらもっと幸福になれるかも。
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