伊織『暁の暴君』
暁の暴君
作者:伊織
掲載誌:『週刊少年サンデー』(小学館)2015年-
単行本:少年サンデーコミックス
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「朱点一真(あかつき かずま)」は高校生の柔道家。
腐敗した柔道界に挑戦状を叩きつける。
イケメンで、家は大金持ち。
いつもメイドを多数はべらせている。
応援する気になれない主人公だ。
「精力善用 自他共栄」
講道館の創始者・嘉納治五郎が掲げた理念を汚す。
主人公が負けたら即引退とゆうストーリーは、
相撲を題材にした、さだやす圭『ああ播磨灘』に似ている。
国技だなんだと伝統に凝り固まった連中を挑発。
くやしかったら俺を倒してみろ。
「大嶽館長」の憎々しい面構えがいい。
播磨灘で言うと愛宕山理事長にあたる。
作者は柔道経験があるらしい。
道着の乱れを直す動きに隙を見るなど、
スポーツ漫画にもとめられる説得力を確保している。
最高位の十段で70歳の「虎熊周五郎」との対戦。
体落を裏投で返す流れが気持ちいい。
それが格闘技なら、強さがすべてのはずだ。
偶像破壊的な偶像が、柔道の本質を問い直す。
流行りのタイプの漫画じゃないけど、おもしろい。
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