エマニュエル・トッド『シャルリとは誰か?』

『ストライクウィッチーズ Operation Victory Arrow』Vol.3「アルンヘムの橋」(2015年)

 

 

シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

 

著者:エマニュエル・トッド

訳者:堀茂樹

発行:文藝春秋 2016年

レーベル:文春新書

公式サイト/同著者の『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる』

 

 

 

エマニュエル・トッドは情け容赦ない。

 

1月7日の17名の死は本当に、

ワールドトレードセンターの2977名の死に匹敵しただろうか。

感情過多だとしてかくもしばしばバカにされるアメリカ以上に、

フランスは過剰反応した。

いったいぜんたい、2015年1月11日、合理主義的で皮肉のセンスが

あるはずのフランス精神はどこへ行ってしまっていたのだろうか。

 

風刺週刊誌の社屋への襲撃を、瑣末な出来事だと斬って捨てる。

そしてイスラム恐怖症をばら撒く元兇は、ウエルベックの小説を読む様な、

一見穏健そうな、中産階級に属する中高年の人々だと統計にもとづき論證。

 

 

 

 

トッドはサルコジ嫌いの左翼だが、社会党に甘くない。

社会党は「差異」を強調し、移民の子供がネイションの一員となるのを拒み、

経済的・政治的・文化的に隔離していると説く。

フランスの本質は、中産階級の中産階級による中産階級のための福祉国家だ。

決して、1%が99%を牛耳っているのではない。

 

(フランソワ・オランドは)ゾンビ・カトリシズムの完璧な体現者だ。

彼はカトリック教徒のゾンビというもののウェーバー的な意味における

理念型と見做されてもよいだろう。

 

 

 

 

若い世代でイスラム教徒に分類されるフランス人は、人口の10%を占める。

ここまで食い込んだ集団と「対決」する体力はフランスにない。

受け入れ、同化させるしかないし、イスラム教徒の方もそれを望んでいる。

かつてカトリック教会をスムーズに世俗性へ取り込めたのだから、できるはず。

 

 

 

 

中産階級の中高年は、ますます年老いてゆく。

ますます幼少時代のノスタルジーに浸り、現実から視線を逸らすだろう。

 

フランスを批判するのは、

そうすることがフランス市民としての自分の義務と考えるからであり、

また、フランスがひとつの人類学的ケースとして特別に興味深く、

他のさまざまなネイションの現実を考察する上でも

非常に参考になると思えるからです。

 

優先すべきはシリアへの空爆でなく、都市郊外の、労働階層の荒廃の救済だ。






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