木野咲カズラ『星屑ネバーランドガーデン』
星屑ネバーランドガーデン
作者:木野咲カズラ
掲載誌:『@vitamin』(KADOKAWA)2015年-
単行本:電撃コミックスNEXT
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みんな大好き、女子寮ものである。
朝から晩までオンナノコが埋め尽くす空間。
第1巻で登場する寮生は6人。
スポーツ少女、生徒会長、同人作家、声楽家の卵、天然キャラ、
世話焼きなお母さんキャラ、見栄っ張り、明るい人気者、無口。
属性の数が合わないのは、女子は複数の顔を持つものだから。
女子寮ものの定番、お風呂シーン。
秘密の花園と聞いて、だれが覗かずにいられよう。
主人公「音瀬川弓月」は、藝能人を両親にもつ境遇を羨まれてきたが、
才能に恵まれず地味な自分とのギャップに苦しんでいる。
そんな浮世のしがらみを洗い流し、裸一貫でリスタートする寮生活。
バレー部のエースで、スポーツ特待生の「森宮たまき」。
料理上手で性格もやさしく、寮ではみんなのお母さん的存在。
サイズも弾力性もバレーボール級のおっぱいがすばらしい。
コートに立つと人格が変わり鬼となる。
その実力はプロ入りも確実と言われるほど。
ちなみにこちらの絵は脚線美を強調。
そして、たまきは「料理人になりたい」とゆう夢と、
スポーツ選手としてのキャリアに引き裂かれ、悩んでいる。
本作の女子はみな二面性があり、葛藤する。
生徒会長の「羽崎セルマ」は、全校の憧憬をあつめるクールビューティ。
エーデルワイスの様な高嶺の花と称される。
本作はジャンルとしては広義の百合に属すが、一輪ごとに色や香はさまざま。
花の色も、それぞれ陰影に富む。
「高嶺の花」でいるための懸命な努力は、ある意味滑稽だが、
思春期らしい一途に愛をもとめる動機が描かれ、泣かせる。
可愛らしい絵柄ゆえ侮られそうだが、エピソードは粒ぞろい。
特に3年生組の4・5話がいい。
これが初単行本となる木野咲カズラの腕前は、華道の家元の様だ。
無造作に二輪の花を生けるだけで、自然美があたりを満たす。
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