尾崎かおり『人魚王子』

 

 

人魚王子

 

作者:尾崎かおり

発行:新書館 2015年

レーベル:ウィングス・コミックス

ためし読み/『神様がうそをつく。』の記事]

 

 

 

10月にも書いたが、「痴漢」は恰好のインサイティング・インシデントだ。

『氷の微笑』でアイスピックを振るうシャロン・ストーンほど異常じゃないにせよ、

思春期の娘が巻きこまれる事件として最悪なもののひとつで、読者を刺激する。

 

本短篇集の「アメツキガハラ」では、尻を触られた「海野あかり」と、

彼氏ができたばかりの親友との対位法が、功を奏している。

 

 

 

 

72ページの短篇がうごきだす。

親友に八つ当たりしたあと、今度はトイレで自分のパンツに敵意をむける。

 

 

 

 

高らかな笑い声をあげ、多摩川ぞいの町を疾走。

ノーパンの天使は22ページで最高速に達し、

散文的な現実から韻文的なファンタジーへ飛翔した。

 

 

 

 

後篇。

処女喪失のあとの入水。

海とゆう大きなものが、破瓜の痛みを通じて、

自分のカラダとゆう小さなもののカタチを明確化する。

 

 

 

 

「人魚王子」の舞台は沖縄。

たかみち『りとうのうみ』に続けて読んでも違和感ないだろう。

アラフォーで「中二病な自分をも抱擁出来る」ようになった作者が、

その内向性を保持しつつ、開放的な風や光を物語へよびこんだ。

 

 

 

 

沖縄の海に、死のイメージをかさねて表現する手法は、

北野武の映画でも顕著だが、尾崎かおりの解釈は独特で深遠だ。

 

 

 

 

限りなく青にちかいモノクローム。

キタノブルーやたかみちブルーに匹敵するうつくしさを湛えつつ、

そっけなく共感を拒絶したり、気まぐれに愛を謳い上げる世界観。






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