ウルリケ・ヘルマン『資本の世界史』
『ハロー!! きんいろモザイク』(テレビアニメ/2015年)OP
資本の世界史 資本主義はなぜ危機に陥ってばかりいるのか
著者:ウルリケ・ヘルマン
訳者:猪股和夫
発行:太田出版 2015年
原書発行:2013年
なぜあれほど豊かだった中国やローマでなく、
1760年以降のイングランドで資本主義が勃興したのか。
答は、「労働者の賃金がほかの地域の2倍だったから」。
雇用者は、人間を機械で代用して利益をあげようとする。
結果として爆発的に生産性が高まった。
また、下層階級が食料品以外のものを買うのも可能だった。
トマ・ピケティ『21世紀の資本』が流行したせいか、
「資本主義=不平等」的な忌まわしいイメージがつきまとっているが、
平等指向が資本主義本来の姿とも言える。
『干物妹!うまるちゃん』(テレビアニメ/2015年)
資本主義の脆弱性は、金融危機が相次ぐ19世紀にはやくも判明した。
国家による援助があってはじめて、資本主義は成功できる。
特に金融市場は、買い支えや調整措置など、国家の介入がないと存続不可能。
競争的な市場経済なんて、自営業者のあいだにしか存在しない。
大企業が「競争」を口にするのは、それが宗教原理だから。
『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(日本映画/2014年)
ドイツの経済ジャーナリストがものした本書は、
資本主義とゆうピースを大きな歴史のなかにピッタリと嵌め込み、
現在と未来について読者に絵解きしてくれる。
たとえば現代のグローバリゼーションの年齢は160歳で、ちっとも新しくない。
科学技術は、インターネットでさえ、資本主義のルールを一切変えなかった。
通信が高速化しただけで、送り手と受け手の構造はおなじ。
世界でも指折りの豊かな工業国であるイタリアを、ユーロ危機にかこつけ、
まるで貧しい発展途上国であるかの様に語るのは笑止千万。
発券銀行に国債をどしどし買わせるべし。
アイルランドの成功例が参考になるだろう。
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