守月史貴『神さまの怨結び』2巻 アンチヒロイン・江西知霧

 

 

神さまの怨結び

 

作者:守月史貴

掲載誌:『チャンピオンREDいちご』『チャンピオンRED』(秋田書店)2014年-

単行本:チャンピオンREDコミックス

ためし読み/1巻と『捻じ曲げファクター』の記事

 

 

 

8話に登場する「江西知霧(えにし ちぎり)」である。

縁を、契る。

ひとことで形容すると、ギャルっぽい。

不幸な少女がさらに堕ちてゆく顛末を、読み切り形式でえがく本作において、

ツリ目で性格のキツい知霧は、1話の「櫻」に匹敵する印象的なキャラ。

 

 

 

 

一見遊んでる風だけど、大の男嫌い。

カラオケで騙され、酔い潰れたところをイタズラされる。

 

前にも書いたが、守月史貴による女体、特に胸は杏仁豆腐を連想させる。

白くて水分たっぷり、ぷるぷるふにゃふにゃで、口にふくめば甘そう。

デッサンの狂いすら美点に感じられる特異な画風。

 

 

 

 

虐げられ、辱められ、汚されても、知霧は復讐心を圧し殺して生きる。

それが「シューダン生活」ってヤツだから。

 

一瞬の殺意のあとの空疎な笑顔。

ピアスのエレガンス。

漫画のトリックをつかいこなす。

 

 

 

 

彼女の素行が不良のそれに近いのは、家に帰りたくないから。

母の交際相手と顔をあわせる虞れがある。

 

 

 

 

ここで本作のギミックである「怨結び」が発動。

セックスにより憎い相手を消し去る。

穢らわしい体液しか残さずに。

「死の本能」を説いたフロイト『快感原則の彼岸』のコミカライズだ。

 

 

 

 

知霧は、「怨結び」のルールを超越したモンスターへ変異してゆく。

 

伝統社会では男が権力を握っていたから、

神話は男の観点から語られていると思ったほうがよい。

神話の女性とは男の観念のなかの女性である。

この結果、女性は美しい至上のものとしてか、

あるいは忌むべき恐ろしい存在という両極端に分化して語られる。

 

『世界神話辞典』 松村一男「女性」

 

良くも悪くも神話的なヒロインが誕生した。

 

 

 

 

掲載誌『チャンピオンREDいちご』休刊をのりこえて復活した本作は、

次巻予告によると、暴走する知霧と、刑事となった櫻の相剋を描くらしい。

 

正直僕は守月をナメていた。

お色気しか能のない作家のひとりに数えていた。

これほど壮大な叙事詩をものすなんて想定外だ。






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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 守月史貴 
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