仲谷鳰『やがて君になる』

 

 

やがて君になる

 

作者:仲谷鳰

掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)2015年-

単行本:電撃コミックスNEXT

[ためし読みはこちら

 

 

 

本作のジャンルは生徒会百合。

新会長の「七海燈子」は美人でなんでもできて、

性格もやさしくて、人を惹きつけてやまない。

たとえ相手が女子でも。

 

ジャンパースカートの上に、セーラータイプのボレロを羽織る。

ブラウスは立ち襟、リボンタイは学年ごとの色違い。

気品に富む制服だ。

 

 

 

 

主人公は新入生の「小糸侑(ゆう)」。

昼休み中の同級生の恋バナに距離を感じる。

机をくっつけてるのに、声が届かないくらい。

 

少女の心象風景はいつだってマジックリアリズム。

 

 

 

 

同中の「菜月」と久しぶりに遊ぶ。

私服もカワイイが、友達同士なのもあってか、フリフリしたのは着ない。

『やが君』は、制服の魔法を駆使する物語だ。

 

ちなみに、この場面の恋バナも読ませる。

 

 

 

 

誘われるまま生徒会を手伝いはじめた侑に、下校中いきなりキスする燈子。

通過する電車を遮蔽物にして。

目を円くする侑。

なびく髪、頬をつたう汗。

踏切を渡った生徒がふりかえれば身の破滅。

 

キスシーンは百合漫画の神聖なる儀式であり、

この聖体拝領は史上最高のひとつ。

前が大きく開くボレロは、横から見たシルエットがうつくしい。

 

 

 

 

キスにより、本作のテーマが浮上する。

「恋愛に意味はあるのか」。

意識していた人物からの求愛に、侑の心はまるで無反応。

 

 

 

 

あざやかな攻守逆転。

集合写真でこっそり手をつないだり、公の場でイタズラをしかける。

赤く染まる耳を冷然と観察。

 

恋ってなんなの。

だれより尊敬する先輩を、わたしなんかの奴隷にしてしまう、恋ってなんなの。

 

 

 

 

二駅向こうから自宅へ押しかけた先輩に、軽蔑にみちた眼差しを投げる。

このひと、どんだけわたしを好きなんだろ。

きっと24時間わたしのこと考えてるんだろうな。

バカみたい。

恋なんてしなければステキなひとなのに。

 

乙女が「恋に恋する生き物」としたら、その関心が物理学者みたく抽象的で、

外科医みたく鋭すぎる侑は、いわば百合のテロリスト。

恋愛の非合理性に、それが非合理的であるがゆえ、のめりこむ。

それで大切なものや、自分自身が破壊されるとしても。






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