大河原邦男『メカニックデザイナーの仕事論』

 

 

メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人

 

著者:大河原邦男

発行:光文社 2015年

レーベル:光文社新書

 

 

 

アニメのメカデザインで知られる著者による回顧録。

竜の子プロダクション(現タツノコプロ)の就職面接を受けるとき、

大河原は東京造形大テキスタイル科在学時につくった反物をひろげた。

見せられる作品が他になかったからだが、

それがどう採用につながったのかは謎だ。

 

洋の東西を問わず、戦でもちいる甲冑は、機能より「こけおどし」が求められる。

科学および軍事的合理性一辺倒では、ロボットアニメとして物足りない。

たとえばガンダムは頭部にちょんまげがあり、ボディは裃の様で、

刀まで携えたサムライ風のスタイルをしている。

未来を創造するため、武士の時代を参照した。

 

従来の円柱と角柱をくみあわせたロボットデザインに対抗し、

大河原はガンダムの脚部に「ふくらはぎ」を連想させるシルエットをとりいれる。

オンワード樫山で背広をデザインしいてたので、

直線と曲線を有機的にまとめるのはお手のもの。

 

 

 

 

硬さと柔らかさ、直線と曲線の融合が、大河原デザインの特色。

入社時のタツノコプロ美術課は、武蔵美出身者が大半を占め、

純粋藝術を志向するアーティスト崩れのあつまりだった。

彼らは風景など描かせるとうまいが、メカの様な「硬いもの」に興味が薄い。

どちらもいける大河原が重宝された所以。

 

従来のロボットアニメのメカは、正しい意味で「メカ」でなく、

やられたらそれっきりの一種の「人格」として扱われた。

一方、兵器であり工業製品であるザクは、何度破壊されても再登場。

富野由悠季や高橋良輔らにより、メカを中心とした世界観が形成されてゆく。

熱い時代だ。

 

 

 

 

絵の天才がゴロゴロいるのがアニメ業界とゆう場所だが、

いくら二次元の絵をスラスラ描けても、メカニックデザイナーになれない。

頭のなかでメカの形を構築するのが仕事だから。

 

子供みたいな好奇心が肝要。

変形するメカを渡すと、子供は説明書なしで夢中になって遊ぶ。

すみずみまで商品を遊び尽くす、容赦ない顧客を相手とするので、

玩具メーカーやメカニックデザイナーは鍛えられる。

 

 

 

 

大河原はCADソフトを使えるが、基本的に手描き。

メカを頭のなかで動かしてるから、立体にしても不具合は起きない自信がある。

鉛筆一本で未来をデザインする、すごい仕事だ。






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テーマ : 機動戦士 ガンダムシリーズ
ジャンル : アニメ・コミック

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苑田 謙

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