青井秋『いとめぐりの素描』

 

 

いとめぐりの素描

 

作者:青井秋

発行:幻冬舎 2015年

レーベル:バーズコミックス スピカコレクション

 

 

 

左から、「縫子」「明」「友枝」。

女子高生のありふれた昼休みの風景。

縫子が真剣な面持ちで刺繍枠に向かうのが、普通じゃないかも。

 

 

 

 

彼女の家は日本刺繍の工房。

自分もいづれ後を継ぐため修行している。

ある日、祖母が集めていた教習布をみつけた。

調べれば調べるほど、各国の手藝文化の奥ふかさに惹かれる。

 

 

 

 

中国・イギリス・フランス・グルジア・ロシア・ハンガリー……。

くる日もくる日も針を刺しつづけた、女たちの人生に思いを馳せる。

そんなちいさな物語を、現代日本の女子高生と重ね織りにする趣向。

 

 

 

 

明はプロをめざしバレエにうちこむが、将来を不安視して引退を決意。

最後のステージ衣装は、ロシアのトルジョーク刺繍がほどこされた優美なもの。

 

よるべない、浮草みたいな女の人生を、刺繍は華麗に飾り立てる。

衣装に背を押される様に、明はまた茨の道をえらぶ。

 

 

 

 

友枝は親友ふたりとちがい、夢中になるものがない。

ただ一途に思いをかける人がいるだけ。

女としては、こちらが本道かもしれないけれど。

 

 

 

 

最終話。

長いときを経て、ひさびさに三人が一堂に会する。

友枝は結婚と出産を経験した。

縫子はブランドを立ち上げ、独自の刺繍の表現を切り拓いている。

自分がデザインしたベビーシューズを贈るとよろこばれた。

 

 

 

 

青井秋はBL系の作家で、僕が普段よむ漫画とくらべると、

キャラクターの描き分けや表情や動きがとぼしく、地味に感じられる。

 

しかし『いとめぐりの素描』は、ひと針ひと針、心をこめて縫いこまれる物語が、

淡々とした作風と幸福な親和性をしめしており、アンティークの様な風格がある。






関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
月別アーカイヴ
11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03