冨澤浩気『戦渦のカノジョ』
戦渦のカノジョ
作者:冨澤浩気
掲載誌:『週刊ヤングマガジン』(講談社)2015年-
単行本:ヤンマガKC
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ミニスカート、吊り目、ショートカット、縦に並んだ泣きぼくろ。
89式小銃もよく似合う。
サイバーテロで壊滅した日本でのサバイバルにいどむ。
北海道の高校にかよう「真琴」は、京都へ修学旅行に来ていた。
班での自由行動中、クラスメートの「優樹」との距離がちかづく。
一生の思い出になりそうな旅。
楽しいことばかりでなく、チャラい男に絡まれたりも。
平凡な学生の目線で第1話はすすむ。
空爆される古都。
いかにもヤンマガらしい、「ドラゴンヘッド2.0」的な展開。
自衛隊員の描写はあまり好意的でない。
最近は「庶民の味方」みたいに持て囃されることの多い彼らだが、
「武器をもつ男たち」の本質的な冷酷さを、作者はきっちり描く。
ヤンマガの漫画といえば、殴り合ったり殺し合ったりするイメージ。
露骨なエロスも期待できる。
そんな雑誌のリアル寄りの特色は押さえつつも、
かわいい女の子がストーリーを牽引するのが当世風。
新人作家だし、正直荒い部分は目につく。
意地悪に言えば、まこっちゃんの短いスカートで釣ってる作品だ。
でもそれはそれで、いいんじゃない?
気高い使命感、凛とした空気感が貴重じゃない?
制服姿でカノジョはきょうも、終わらない修学旅行をつづける。
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