フクハラマサヤ『水瀬まりんの航海日誌』完結
水瀬まりんの航海日誌(ログブック)
作者:フクハラマサヤ
発行:芳文社 2014-5年
レーベル:まんがタイムKRコミックス
見習い水兵「まりん」の仕事も、そろそろ板についてきて……ない。
ここに引用した部分は、作者の技量をうかがわせる。
駆逐艦の激しい揺れ、クローズアップのかわいさ、脳天気ぶり、体を張ったオチ。
いまどきの萌え4コマのたのしさを凝縮。
最終第2巻で印象的なキャラは、潜水艦をあやつる「イーナ」。
艦内に引きこもりっぱなしで、お母さんに心配される。
食事を持ってきても、ちらっと顔をみせるだけ。
まりんを乗せて潜行中、巨大イカに襲われる。
絶体絶命ってほどじゃないが、艦長だから最悪の事態を想定してうごく。
かわいい顔して、女子がみな責任感つよいのが本作。
艦長「舞」のひととなりも類型的じゃない。
先頭に立ち部下を統率するより、お姫様抱っこされる方が多い。
でもそのやさしさが慕われている。
2巻で僕のすきなシーン。
休憩時間、まりんが地球の遊びであるリバーシをおしえる。
勝負そっちのけで、それがふたりだけの時間であることにときめく。
戦いと日常と百合のトライアングル。
ストーリー終盤は、陽炎が大和を旗艦とする大艦隊に挑むなど熱い。
昭和っぽい中二病趣味にツッコミもはいるが。
大成功した作品ではないにせよ、既視感あるけど新しかったり、
ガチミリタリーだけど殺伐度ゼロだったり、不思議なバランスが印象ぶかい。
さざめく波よりキラキラ。
百合のトライアングルのまぶしさが、目に焼きついて離れない。
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