篠田芽衣子『89番目のおんがく』

 

 

89番目のおんがく

 

作者:篠田芽衣子

掲載誌:『COMICリュウ』(徳間書店)2015年-

単行本:RYU COMICS

[ためし読みはこちら

 

 

 

高校生のピアニスト「上城裕也」の物語。

聴衆を熱狂させ、感涙させる力をもつ。

 

 

 

 

コンサートがおわり、熱心なお姉さまがたに囲まれる。

内心「これで満足かババア共」と悪態つきながら。

 

状況はただごとじゃない。

冒頭10ページで読者の心をつかむ。

 

 

 

 

上城が抱える葛藤は、交通事故で亡くなった兄への愛憎。

おなじくピアニストの兄に対する劣等感に苛まれ、生前は忌避したのに、

死後は彼の演奏を模して、追悼リサイタルをおこなっている。

 

 

 

 

哀れなまでの矛盾が、夜ごとに上城を苦しめる。

狂気におちいる寸前まで。

 

あだち充『タッチ』みたいなドラマ上の仕掛けと、

主人公の内面をえぐる描写が光る新人作家だ。

 

 

 

 

「お姉さまがた」も決して上城の味方ではない。

兄の忠実なコピーであることを期待し、そう強制する。

 

他者の酷薄さが、かわいらしい絵柄ゆえに一層ふかく、読み手の心に刺さる。

 

 

 

 

篠田芽衣子は1990年うまれ、京都精華大学マンガ学部を卒業している。

クラシック音楽が題材なのは、専任教員のさそうあきらの影響もあるか。

 

 

 

 

演奏者が飛んだり跳ねたりしないクラシックは地味なジャンルで、

「音楽をどう絵で表現するか」とゆう難問がつきまとう。

僕は不可能なんじゃないかとすら思っている。

すくなくとも『ラブライブ!』の様にはいかない。

 

篠田芽衣子は「エアピアノ」とゆう着想で、このアポリアを解決した。

才能をもつ人間と、もたない人間がいるとしたら、彼女はまちがいなく前者だ。

 

 

 

 

『89番目のおんがく』1巻は、変に理想化されてない、

ふたりの男子のリアルな交流がえがかれていた。

次巻からは、長髪の美少女も本格的にコミットし、

より華やかなオペラがくりひろげられるのだろう。






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